ファッション小売業の再形成 〜 オンラインフルフィルメント、ダークストア、データ精度から紐解く〜

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turn smartphones into personal shoppers

かつてない事態に見舞われた2020年はeコマース消費が急増し、あと4~6年は無理だろうと予想されていたレベルにまで達し、前年比77%増となっています(Adobe Digital Economy Index、2020年)。このため、ファッション小売業者はデジタルにフォーカスを移し、eコマースのオーダーフルフィルメント(注文履行)を迅速かつコスト効果の高いものにする方法を模索しています。

そして、1台の小型のツールがオンライン注文のピッキングとフルフィルメントの効率化に大きな役割を果たしてくれるとあって、従業員にスマートフォンを持たせています。

ダークストアに光を当てる

ファッション小売業者は、このようなオンラインオペレーションの効率化を実現する手法を研究しており、ダークストアの運営もひとつの選択肢となっています。これはロックダウン中には現実的なソリューションでしたが、一般大衆向けの店が営業再開しても、一部の店はそのままダークストアとして増大するオンライン需要に対応しています。

ダークストアは長年、食料雑貨の小売業者によく利用されてきました。一般公開されていない中ですが、ファッション小売業者の場合、少数のスタッフを使ってシップフロムストア(店舗からの配送)サービスをサポートし、オンライン注文を履行できます。

1軒のダークストアは専用のフルフィルメントセンタで複数の店をサポートできるため、オーダーピッキングの効率性が向上し、在庫の精度と可視性も向上します。またダークストアの場合、来店客数は重要でないため、家賃が安かったり、町から離れた立地での選択肢にもなります。加えて、eコマースフルフィルメントセンタが今回のウイルスによる影響を受けた場合に役立つ緊急時対応策にもなります。

ダークストアは小売業者とお客様の双方にメリットをもたらす可能性があります。在庫データが最新であれば、という条件付きですが。

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正確な在庫データが迅速なフルフィルメントの鍵

オンラインフルフィルメントに関しては、小売在庫の精度が極めて重要です。

以前のブログでは、行列の解消からより魅力的なショッピングジャーニーの実現までにわたり、スマートフォンとスキャン対応アプリで、お客様と従業員の店内体験をリセットし変革するさまざまな方法を取り上げました。

これには買い物客のデバイスに拡張された商品情報を表示して関心を引いたり、クライエンテリングのアプを使って従業員が質問や要求に自信をもって対応できるようにすることが含まれます。この2つの例に共通する成功の鍵は、しかるべき情報をしかるべき場所で、しかるべき時に入手できることであり、特に在庫および製品データに関してはそうです。

平均的な小売店の在庫精度は約65%であるため(オーバーン大学)、改善の余地は十分にあります。効率性を高めるには、より正確な在庫データを複数のチャネルから入手できるようにすることが重要です。

ここでスマートフォン型端末の導入により、優位に立つことができます。

1回1回のスキャンで、在庫精度を高める

多くの小売業者はハードウェア型の専用バーコードリーダーを複数台保有して、スタッフがピッキングやオーダーフルフィルメント、補充、在庫管理といった作業を遂行できるようにしています。

高コストの従来のハンドヘルドスキャナ(HHT)の場合、ほとんどの小売業者は店に十分な台数を置いたためしがなく、結果として多くの場合、在庫計算に支障を来しています。店内在庫の状況は、たいてい在庫補充やフルフィルメントを行うには不正確なままとなっています。

しかし、高度なモバイルスキャンソフトウェア端末により、低コストのスマートデバイスを、在庫管理システムが統合された、エンタープライズ要件を満たす端末へと進化させることができます。これで従業員全員に対して、オンライン注文の履行時に普通のスマートデバイスで高性能なスキャンを実行できる機能を低コストで提供し、在庫数量がリアルタイムで絶えず更新されるようにすることができます。

より多くの従業員にモバイルデバイスを持たせることによって、スキャンするたびに在庫数量の精度が向上します。迅速かつ直感的で正確なだけでなく、デバイスを共有する必要もありません。
現在、共有のハードウェア型端末を使用すると、従業員の感染リスクが高まるだけでなく、頻繁に消毒することになり余計な手間がかかります。

また、小売業者はBYOD(Bring Your Own Device/私有端末の業務利用)戦略を採用して、従業員が自分のスマートデバイスを使ってオペレーション作業を遂行できるようにすることもできます。これは特に新しい従業員や臨時従業員には便利で、需要のある季節的なピークや予期せぬピークに合わせて拡張できます。

スキャンディットなら、エンタープライズ要件を満たすスキャン機能を既存のアプリや店のインフラにも簡単に導入できます。またスキャンディットのソフトウェアは2万機種を超えるスマートデバイスで高性能なスキャン機能を実現するため、小売業者やその従業員がどのようなデバイスを保有していようと、スキャン性能は保証されています。

1台のデバイス、優れた柔軟性、新しい機能

ファッション小売業者にとっては、柔軟性もまた重要です。在庫の可視性が向上すれば、在庫、特に季節ものをより効果的に店舗からeコマースへ、また両方向に移動できます。店舗になかった商品は、お客様のために従業員がオンラインで注文できるため、売り逃しの減少にもつながります。

また、スマートデバイスを携えた従業員は、複数のオペレーション作業をたった1台のデバイスでこなすことができます。従業員のアプリで拡張現実(AR)テクノロジーを使用することにより、かつてない効率化を実現し、ワークフローに変革をもたらすことができます。

Scandit MatrixScanソフトウェア は、1回のスキャンで複数のバーコードからデータを素早くキャプチャできます。

何箱もの商品を一気にスキャンして倉庫に入れることができるため、在庫管理の時間を最大40%短縮できます。従業員はARを使用して箱をスキャンするだけで、開梱して中身を確認する必要はありません。なぜならARオーバーレイによって画面に商品が表示されるからです。これにより、中身を確認するためだけに20箱も開けるといった時間のかかる作業をしなくて済みます。

オンライン注文品のピッキングを行う従業員は、注文書のバーコードをスキャンしてから棚にある複数の注文品をスキャンすることで、適切な注文品を特定できます。これが本当の時間の節約というものです。

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ファッション小売業におけるスマートフォンの活用

ファッション小売業者は予測不可能な市場に継続的に対応し、適応していかなければなりませんが、スマートフォン型スキャンは柔軟かつ将来性のあるテクノロジーとしてデジタルシフトをサポートします。状況の変化に伴ってオンライン需要が減少、安定、あるいは増加しても、柔軟性、拡張性、効率性に優れたモバイルアプリとスマートフォンがあれば、小売業者はうまく対処し、成功を収めることができます。

スマートフォン型スキャンでファッションに変革をもたらすその他の方法については、ファッション小売業に関するインフォグラフィックをご覧ください。

また、ファッション業界のお客様がモバイルスキャンのアプリを採用して課題を克服し、デジタルトランスフォーメーションを実現している方法の詳細については、こちらまでお問い合わせください