スマートフォン型スキャナとARによる新時代に向けたアパレル業界のデジタル変革

あえて言うまでもなく困難な状況にありますが、すでにアパレルの小売業者は一変した市況に適応するための方策をとり、業務改革を進め、将来に備えてデジタル・トランスフォーメーションを加速しています。

新しい衛生対策、eコマースの普及、デジタル化の加速、変化する消費者ニーズ、オムニチャネル対応など課題は山積しており、こうした課題に取り組むアパレルには、これまでと違った思考や行動が要求されています。また、アパレル小売業者は、時代とともに進化する必要があることも理解しなければいけません。

そこでお伝えしたいのがスマートフォン、具体的にはモバイルスキャン機能がもたらすメリットです。例えば、次のことが実現できます。

  • 安全な方法による顧客エンゲージメントと顧客満足度の向上
  • 従業員の業務効率と満足度の向上
  • 大幅な増益
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1. 小売の未来はすでに手中にある:スマートフォン

スマートフォンがもたらすイノベーションのインパクトは、どれだけ強調しても大げさではありません。これにより小売業、そして社会そのもののあり方が変わりつつあるのです。

“いまは100年に及ぶ長い転換期の最初の10年にあたり、クルマ(20世紀)からスマートフォン(21世紀)へと小売業界の再編が進んでいます。”
Bonobos創業者 Andy Dunn氏

mPOS smartphone

ファッションやライフスタイルショップでの買い物スタイルは時代と共に次のように大きく変化を遂げました。

  1. 市場となる町の誕生:地域の生産者ネットワーク、町を中心に商業活動や文化的生活を展開。
  2. 20世紀の小売はクルマ中心:郊外、大型ショッピングセンター、ショッピングモール、大規模小売店。
  3. 21世紀の小売はスマートフォン中心:eコマースやmコマース(モバイルコマース)が継続的に成長。配達、オンデマンド、こまめな買い物といったニーズへの対応。
  4. 現在、新型コロナによる影響:臨時休業、来店客数の減少、リアル店舗における新型コロナ対策の必要性。eコマースおよびオーダーフルフィルメントに注力、買い物客の安全意識の高まりにより滞在から販売に重点をシフト、クリック&コレクトやセルフスキャンショッピングといったサービスの利用増。

生活のモバイル化が進み、そのなかで買い物の方法も変化しています。あらゆるデモグラフィック属性の人々がどんどんモバイル中心の生活に移行し、あらゆるやり取りにスマートフォンが使われています。スキャンディットのモバイル・コンピュータビジョンソフトウェアを採用することで、小売業者はこの状況を活かして、直面する課題を解決することができます。

2. リテールエクスペリエンスの変革:買い物客と従業員のために

プライベートも仕事も、アプリで何でもこなせるモバイルライフに注目すれば、スマートフォンとモバイルスキャン機能によってアパレル業界がどれほど大きな変革を遂げられるかが分かります。

経験豊富な小売業者は、リアルとデジタルの世界を融合してオンラインショッピング体験のよい部分を実店舗でも実現することを目指しています。

スマートフォンとスキャン機能は、すでに多くの小売店の買い物客と従業員の体験に次のような変革をもたらしています:

買い物客はショッピングリストを確認して商品をスキャンしながら買い物をし、決済してロイヤルティポイントを貯める、という一連の行為をスマートフォンのショッピングアプリを使って実行できます。

買い物客はウェブで検索したり、スマートフォンで商品バーコードをスキャンして商品情報やレビューを参照し、実店舗でも商品を比較して、情報に基づいた選択を行うことができます。

実店舗でもオンラインショッピングの先進性とパーソナライゼーションが融合した、快適な体験を求める買い物客が増えています。

従業員は、柔軟性に欠けて扱いにくく、自分が使い慣れたデバイスのようにスマートではないテクノロジーの業務利用を避けたいと思っています。

従業員は衛生上の理由から1台のデバイスの共有を嫌がっていたり、頻繁な消毒作業に時間を費やしたくないと思っています。

スタイリッシュで多機能なスマートデバイスを使用して業務を遂行した場合、従業員の生産性やエンゲージメント、満足度は向上しています。

この変化はすでに起きています。パンデミックはデジタルやモバイルを受け入れる必要性に拍車をかけただけであり、消費者が重視するものは変化し、進化しているのです。McKinsey & Companyのレポート『State of Fashion』によれば、現在「デジタル化の加速」により、デジタル化がアパレル業界のバリューチェーン全体の喫緊の優先事項として浮上しているということです。

“さらなる感染拡大とロックダウンの可能性が迫るなか、業界大手は不確実性に慣れ、有望な取り組みを強化する必要がある。”
McKinsey & Company『State of Fashion coronavirus update』(2020年4月)

成功しているアパレル企業はスマートフォンの効果を認識しており、積極的に進化を遂げ、最新のモバイルリテール体験を構築して、迅速に行動し、適応しています。

スキャンディットのソフトウェアを使用すれば、カメラを内蔵するモバイルデバイスが高性能なバーコードスキャナと拡張現実(AR)ツールに進化します。

小売業者は消費者および従業員向けアプリで多様なファッションショッピングジャーニーを実現し、既存インフラのリップ&リプレース(総入れ替え)を伴わずにデジタル技術と実店舗環境を効果的に融合できます。

3. 店舗で顧客エンゲージメントを高める

ニューノーマル時代では、滞在ではなく販売に重きが置かれるようになりました。多くの買い物客はのんびり見て回ったりせず、店内では人とのやり取りや接触を極力避けたいと思っています。ポケットから取り出せるスマートフォンを使って商品に関する情報を取得したり、買い物することができれば、喜ばしい顧客体験をもたらします。

42%
商品の原材料や製造方法を知った上で購入したいというミレニアル世代の比率
スキャンできるアプリでスマートフォンがパーソナルショッパ(買い物代行ツール)に早変わり

快適なセルフスキャン体験、商品情報への瞬時のアクセス、パーソナライズされた販促情報は、店内の買い物客にかつてないエンゲージメントと利便性をもたらし、顧客満足度、コンバージョン率、収益の向上につながります。

  • 非接触度の高いショッピング体験を実現。買い物客は自分のスマートデバイスのアプリを使って、店内を見て回りながら商品をスキャンし、列に並ばずに好きなときに精算する。
  • ショッピングアプリにより、さっとスキャンするだけでスマートフォンの画面に役立つ商品情報が表示される(サイズの選択肢、配送オプション、環境情報など)。
  • ARオーバーレイにより、実店舗でeコマースのような体験を実現し、レビューやパーソナライズされた特価情報を画面に表示できる。
  • 値札間違いの商品がレジに持ち込まれなくなる。値札をスキャンするとARオーバーレイによりリアルタイムの価格が表示されるため、セールの時期に価格照合が可能。

4. mPOSでやり取りを最適化して行列を解消

小売業者は「モバイルを活用して、販売員ひいては買い物客のエンゲージメントとエンパワーメントをどのように実現するか?」と自問する必要があります。

モバイル技術によって次のことが可能になります。

  • 従業員の業務効率と満足度の向上
  • カスタマエクスペリエンスの向上による売上アップ

スキャン操作は業務上不可欠であり、棚管理やモバイルPOSなどの多くの作業で、従業員1人につき1日当たり数百回ものスキャンを要します。

現在、アパレル業者の多くはコストを抑えるため、各店舗にハードウェア型スキャナを数台設置して従業員に共有させているかもしれません。スキャンディットのテクノロジーを採用すれば、デバイスのコストを削減できるため、高速・高精度のスキャン性能 を備えたスマートフォンを従業員全員に支給できます。

従業員が情報をすぐ入手できるようにして顧客満足度を高める

よくある例として、来店した買い物客が求めるサイズや色の衣料品が見つからないことがあります。多くの場合、買い物客と販売員の間では非効率で不満の残るやり取りが交わされます。

  • 買い物客が販売員に近寄って特定の商品をリクエストする
  • 販売員はバックヤードや倉庫に移動し、PCを使って在庫の有無を確認する。
  • 買い物客は従業員が目的の商品を持ってきてくれるか、どれくらい待たされるか分からないまま待っている。
  • 一方、販売員は「買い物客は待っていてくれるだろうか、移動してしまっただろうか、帰ってしまっただろうか」と気をもみながら、在庫を確認して商品を探さなければならない。
  • 従業員も商品を見つけられなければ、サービスが悪いという印象を持たれ、従業員のほうにも時間を無駄にしたという思いが残る。

ポストコロナにおいては、スピードとサービスがいっそう重要度を増しています。なぜなら、買い物客は店に行ったら長居せずに、必要なものを購入してすぐ店を出たいと考えているからです。スキャン機能を備えたスマートフォンを使用すれば、販売員は目的の商品をスキャンして、その場でリアルタイムに関連情報を確認できます。買い物客のそばを離れるのは、商品を取りに行くときぐらいです。

仮に在庫切れでも、近くの別の店舗にあるかどうか、宅配が可能かどうかをその場で買い物客に伝えられるため、売上につながる可能性が高まります。

モバイルPOSで非接触精算を実現

だれでも列に並ぶのは嫌ですが、現在の環境ではなおさらです。精算時に対人距離を確保することはファッション店では特に難しく、たいてい複数のレジが密接した状態で設置されています。この状態を軽減するためにできることは、何であれ重要です。

モバイルPOS(mPOS)を導入すれば、スペースが限られているファッション小売店でもレジ待ちを解消できます。

71%
レジでの対人距離の確保が最も必要な安全対策であると回答した買い物客の比率――BrandsEye(2020年)

スキャンディットのスキャン技術により、店内のいたるところでモバイルデバイスを使用して迅速かつ簡単に小売POSトランザクションを実行できます。固定レジの補助として折りたたみ式のテーブルを使用したり、接客中や行列ができているときに従業員が通路で支払いを受けることもできます。

バーコード読み取り機能を備えたスマートデバイスをmPOSソリューションと連係すれば、待ち時間を解消し、レジのインフラコストの削減やスタッフの配置を減らせます。mPOSは柔軟性の高いテクノロジーであり、手間をかけずにすぐ実装できます。手軽で汎用性の高いソリューションであるため、新型コロナウイルス感染拡大予防ガイドラインの改訂に合わせて変更したり、外すことができます。

売場での在庫管理や価格照会をスピードアップ

手動による価格更新や値引きのプロセスは非効率になりかねません。販売価格がよく変動する場合には、従業員が印刷した価格リストを値札と突き合わせて照合して回らなければなりません。

代わりにスキャン機能を備えたスマートフォンアプリをプライシング管理システムに連係すれば、次のことが可能になります。

  • 従業員が値札をスキャンするだけで値引きが正しいかどうかをリアルタイムに確認できる。
  • 買い物客が値札間違いの商品をレジに持ってきてがっかりすることがなくなる。
  • 店員に訊くまでもなく、消費者が自分のスマートフォンで価格を確認できる。
  • 従業員にとっては作業の効率と精度が上がり、手間を省ける。

ツールの性能は従業員と買い物客のエクスペリエンス品質の基盤となる、重要な要素です。スキャンディットのソフトウェアは エンタープライズ要件を満たすスキャン機能を提供し、2万機種を超えるスマートデバイスに対応します。また高速・高精度なバーコード読み取りを実現しており、暗い場所、あらゆる角度、ラベルが破損またはぼやけていても、抜群の性能で読み取ることができます。

スキャンディットのテクノロジーを採用したスマートデバイスは、ハンディターミナルと異なり、1次元バーコードや2次元コードなど、主要なシンボルはすべて読み取れます。特に、トレーサビリティを確保する方向へシフトする中、商品パッケージにDataMatrixコードの貼り付けが法的に義務化されているため、この機能はますます不可欠なものになるでしょう。

バーコードの読み取り機能を備えたアプリを搭載するモバイルデバイスで日常的なプロセスや作業を行うようにすれば、業務を効率化して、従業員の仕事に対する満足度を高めることができます。

5. オムニチャネル環境へのシームレスな統合

営業再開になっても、一部の店は「ダーク」のまま増大するオンライン需要に対応しています。ダークストア(ネット販売専用の物流センタ)のほうが、よりコスト効果が高く、効率のよいeコマースフルフィルメントを実現できます。

小売業者と買い物客の双方にメリットがあるわけです――在庫データが最新でさえあれば。

従来のハンドヘルドスキャナ(HHT)は高コストであるため、ほとんどの小売業者は店に十分な台数を設置していません。このため多くの場合、在庫計算に支障を来しています。たいていは店の在庫数量が不正確なまま、在庫補充とフルフィルメントを行っています。

モバイルバーコードスキャン機能とARで在庫管理の効率化を実現

複数の従業員にスキャン機能を備えたスマートデバイスを支給して、バックエンドシステムに連係すれば、注文履行時にスキャンするたびに在庫数量がたえず更新されます。

最終的に、より多くの従業員にデバイスを持たせれば、従業員が棚卸しを行うことによって在庫精度は大幅に向上します。

スキャンディットのMatrixScanソフトウェア を使用すれば、複数のバーコードを一括でスキャンしてすぐにデータ処理できるため、在庫管理の時間が最大40%短縮されます。何箱もある商品を一気にスキャンして倉庫に収めることができるため、時間を大幅に節約できるツールといえます。

6. 定評のある、破壊なきイノベーション

モバイルファーストの世の中では、予想外の変化があり、デジタル・トランスフォーメーションを前にして競争力を維持しなければならないプレッシャーもありますが、カメラを内蔵するスマートデバイスでスキャン機能を確保すれば短期間で変革をもたらすことができます。スキャンディットのテクノロジーにより、小売業者は買い物客とのやり取りの拡充や従業員エンパワーメントにつながる、さまざまな可能性の検討を始めることができます。

アパレル企業がコストをかけずに、モバイル中心の新しいスタンダードを上手に活用し、スキャンディットの技術により大きなコスト効果を獲得する方法の一部を紹介しました。

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