ヘルスケア業界でモバイル・コンピュータビジョンが貢献する重要な役割とは

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響によって、2020年1月から7月にかけてヘルスケア業界は過去40年で大きな変化を余儀なくされました。

振り返ると、1980年以降、様々なことが起りました。まず、ヘルスケアのコストが2倍になりました。

この変動率は今も継続している動向です。例えば、2050年までに世界の高齢者人口は2倍になると予測されています。このような動きが示すとおり、ヘルスケアが常に世界的な優先事項となってきたのは間違いありません。

さらに、新型コロナウイルス感染症の感染拡大によって人々の関心が集まるようになり、その結果、当然ながらヘルスケア業界はその運営のあり方を修正し、どのようにすれば改善できるかを模索しはじめています。

状況に応じて正確で検証可能なデータを収集し共有することが、患者の安全性の確保、措置効率の促進、コストの削減、世界的な規制基準への適合には不可欠です。これに加えて、規制の厳格化や、医薬品のトレーサビリティに対するニーズも高まっています。

ここで役立つのがモバイル・コンピュータビジョン技術です。

モバイル・コンピュータビジョン技術は、医療機関が様々なシステム、チーム、プロセスにわたってデータの読み取りや接続を行う上で、重要な役割を果たすことができます。全て、患者のケアを優先に規制を遵守しながら、コストを抑えることが可能です。

ここではコンピュータビジョンとバーコードスキャンが、この困難な状況において医療機関でどのように活用されているか紹介します。

医療サービスにおけるスマートデバイスを使用したスタッフの負荷軽減

データを読み取り、デジタルシステムに接続して、情報をトラッキングすることが、ヘルスケア管理で今なお直面している重要な課題となっています。

そのソリューションの1つとして考えられるのが、日常的に使用するスマートフォンへのScandit Barcode Scannerの搭載です。このソリューションならば、医療サービス利用者へのケアを大規模に提供しながら、ケアの手順を自動化する低コストで利用しやすい方法を確立できます。

これによって個人所有のスマートデバイスを業務で利用するBring Your Own Device(BYOD)戦略を実践しやすくなり、データの読み取りと即座のアクセスという課題を解消する、ますます魅力的なソリューションとなっています。

このソリューションには次のような活用方法があります:

  • 患者IDの非接触管理 – 基本的なコンプライアンス要件であり、入院受け入れ規模の大きい医療機関では不可欠である
  • 時間どおりの正確な投薬、処方
  • ヘルスケアのサプライチェーンによる投薬と検体サンプルの追跡
  • 生命にかかわる医療機器の追跡 – 適切な場所とタイミングで、適切なリソースへのアクセスを保証
  • 医薬品の発注 – より迅速で正確に医療措置を提供

これら全てが、医療従事者の負担軽減につながります。それぞれの活用方法の詳細については、こちらを参照してください。続けて、その他のメリットと導入方法について紹介します。

モバイル・コンピュータビジョンにより時間のかかる事務処理の負担を軽減

2016年に米国の内科医を対象に実施された習慣と将来的な見通しに関する調査「2016 Survey of America’s Physicians: Practice Patterns & Perspectives」によると、医師が臨床以外の事務処理にかかる時間は21%と報告されています。これを換算すると、フルタイム勤務の医師16万8,000人が臨床活動に関わっていないのと同等です。

US physicians spend 21% of their time on non-clinical paperwork

モバイル・コンピュータビジョンによって、「事務処理が多すぎる」、「エラーが多すぎる」、「スタッフの作業環境がサイロ化している」といった意見に象徴される様々な問題に対処できると共に、次のことも実現できます。

  • バーコード読み取り、文字認識、オブジェクト認識を臨床用・臨床以外のどちらのアプリケーションにも実装
  • 拡張現実(AR)により情報をデバイスの画面上に直接オーバーレイ表示し、リアルタイムのインサイトを提示

さらに医療従事者は、臨床プロセスにおける人的エラーの排除とワークフローの効率化のため、モバイルデバイスによるバーコードスキャンをますます利用するようになっています。

コンピュータビジョンとモバイルデバイスの組み合わせにより結果的に時間が短縮された分、患者のケアの質を高めることができます。

柔軟性の高い安定したバーコードスキャン性能をヘルスケア業界に提供

Scanditのモバイル・コンピュータビジョンを実装したアプリを導入することで、ヘルスケア業界で欠かせない柔軟性と安定したバーコードスキャン性能を医療従事者に提供できます。

これにより確実に患者中心のケアを推し進め、例えば医療従事者が患者の情報を病院の外でも収集・共有できるようにすることで、混乱なくコストを抑えて在宅ケアへ移行できるようになります。

その他、医療ワークフローのスピードアップと効率化も見込むことができ、拡張現実(AR)オーバーレイにより患者、医薬品、消耗品の受発注に関するリアルタイムの情報をデバイス画面へ表示する機能もその方法の1つです。

正確なデータを即座に入手できれば、質の高いケアを提供しながら、患者の安全と規制遵守のどちらも保証できます。

費用のかかる専用スキャナをモバイルデバイスに置き換え

多くの医療機関がモバイル技術の活用により、自動化を促進し、コストを抑えながら、より安全な医療サービスを提供できるようになっています。これにより、患者の安全確保、コンプライアンス遵守、業務の効率化につながる、スケールメリットが実現されます。

ヘルスケア業界では通常、患者のトラッキングを含め、分析用の検体から、滅菌液、投薬まで、バーコードで管理します。

高額な専用デバイス、医療用カートコンピュータ(COW)、ナースステーションのデスクトップPCもモバイルデバイスに置き換えることが可能です。

モバイル・コンピュータビジョンにより、医療従事者は既に所有しているスマートフォンを使用して、全ての作業を管理することも、患者のID、処置、投薬の履歴にすぐにアクセスすることもできます。

多くの医療機関が、スマートフォン用のバーコードスキャン機能を備えたモバイルアプリを業務プロセスに導入することで、スマートデバイスのシンプルさ、柔軟性、低コストを最大限に活かし、処方の手順を自動化して、より患者中心の仕組みを作り上げています。

モバイルのバーコードスキャンを活用した患者の治療工程に対する共通認識の確立

モバイル用のバーコードスキャンは、臨床現場における医療介入の質と成果に基づいて、ヘルスケア業界のよりコスト効果の高いモデルへの移行をサポートするものです。

モバイルデバイスをもちいることで、現場のデータをその場で読み取り、システム全体で患者の治療工程に対する統合的な共通認識を確立します。これによってコンプライアンス遵守と同時に、正確なデータを医療システムを通じてリアルタイムで追跡し、サプライチェーン全体で安全性を確保することができます。

次の記事も参考にしてください。

  • 臨床医用モバイルアプリEpic RoverにScanditを搭載:Scanditの技術をEpic Roverに組み込むことで、臨床現場でiOSの標準カメラを使用したドキュメントの正確な読み取りを実現
  • Leeds Teaching Hospitalsの導入事例:イギリスで最大規模を誇る医療機関では、モバイル用バーコードスキャンによってコスト効率、時間効率を95%向上
  • 医療・医薬品の輸送サービスを提供するERS Medicalの活用事例:Scanditによる医療サービス提供のスマート化、安全性向上、コスト低減

患者中心のケアをサポートするモバイル・コンピュータビジョン

患者のリストバンドをスキャンするだけで、医師は患者の診療記録、投薬指示などのデジタルワークフローにアクセスし、薬を投与した日時や血液サンプルの発送日を確認することができます。

バーコードスキャンと拡張現実(AR)に対応したアプリを導入することで、医療スタッフはベッドの予約、患者の退院、検体や医療機器の記録と追跡を移動中でも行いやすくなり、正確に管理するには負担の大きい紙ベースの業務プロセスから解放されます。医療サービス利用者の多くもその違いに気づき始めているのではないでしょうか。

2019年にSOTIが実施した消費者調査によると、患者の75%が、モバイル技術を診療に取り入れている医師のほうが素早く便利な受診体験を得られると回答しています。

モバイル用のバーコードスキャンによるヘルスケア管理のコスト低減

スマートデバイスによる高度なスキャン機能は、治療の正当性の証明でも、患者のID照合でも、確実な規制遵守を支えています。

医療現場では、ScanditのMatrixScan機能を搭載したアプリを使用して、リアルタイムの資産追跡や在庫管理が40%高速化され、時間が短縮された分、医師は患者のケアに集中できるようになります。

40% faster tracking assets and managing inventory with a Scandit-enabled app

薬剤師は、ジャストインタイム生産方式の在庫補充により、薬、血液、機器、消耗品(滅菌手袋、包帯、消毒ワイプなど)といった在庫をリアルタイムでスキャンし、エラーの低減と効率の向上を図ることができます。

ヘルスケア管理をデジタル化しなかった場合の機会損失は見逃せません。

McKinseyとGerman Managed Care Association(BMC)の共同調査によると、ドイツの医療システムが完全にデジタル化されていた場合、2018年に実現できた潜在的価値は最大340億ユーロに上ると提言しています。

ヘルスケア分野の進歩と医療従事者のサポート:1度に1回のモバイルスキャン

ここで紹介するガイドを読むと、ヘルスケアの日常的なワークフローの大半がモバイル用コンピュータビジョンによって効率化されていることがわかります。

ホワイトペーパーをダウンロードして、次のことを確認してください。

  • 視覚的で直感的なソフトウェアソリューションを組み込むことで、コストを抑えたスマートデバイスでもほとんどトレーニングを行うことなく、患者と医薬品の照合といった日常の作業で人的エラーを解消する方法
  • 1回のスキャンで複数のバーコードを読み取り、拡張現実(AR)オーバーレイを利用してリアルタイムのデータにアクセスできることで、在庫管理、医薬品の配布などのシステムを向上できる理由
  • 患者の診療に関わる全ての医療従事者に、一貫性のあるリアルタイムの情報を提供することで、患者のケアを改善しコンプライアンスを遵守する方法

 

困難な状況は現在も続いています。 新型コロナウイルス感染症による状況がすぐに快方に向かう兆しはまだありませんが、モバイル用バーコードスキャンとコンピュータビジョンは、医療現場のワークフローや患者のケアでの負担を解消することで、臨床スタッフを支えています。

Scanditが各医療機関でどのように活用されているか、さらに詳しく解説いたします。是非お問い合わせください