今こそオーダーフルフィルメントの内製化を

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今こそオーダーフルフィルメントの内製化を

お客様があまりにも多くて対応しきれない――そんなこともときには起こります。

2020年の春、こうした事態に直面した有名な米国の食品配達ブランドでは、パンデミックにより注文が3倍に増えました。

食品のオンライン購入に人々が殺到し(多くは初めて)、同社は数千人のオーダーピッカーを新規雇用する必要がありました。

このようにかつてないほど需要が高まると、場合によっては事業に支障を来すおそれもあります。しかし、同社は新規従業員を雇用しただけでなく、すぐに最適なテクノロジを配備して業務を遂行させることができました。そして、新しいお客様にも満足してもらえたのです。

それを可能にしたソリューションが スマートフォンで稼働するスキャンです。

食品eコマースが急成長

この配達会社の詳しい経緯に触れる前に、食品のオンライン購入が過去18カ月間でどう推移してきたかを知る必要があるでしょう。トレンドに関しては、2020年以前ならオンラインによる食品購入への移行も十分に予測可能でした。

当時の食品小売業者はeコマースの着実な伸びに対処しながら、時期や需要に応じて既存のサービスやスタッフを徐々に強化していました。

しかし新型コロナウイルスの感染拡大によるロックダウン中に、それまでほとんどオンラインで注文した経験のない多くの顧客が一気にオンライン注文へと移行し、結果として、小売業者はこの急変に即対処する必要に迫られました。

それを裏付ける数字があります。

フォレスターによれば、2019年には米国の顧客のわずか4%しかインストアピックアップ(店頭受取)の食品を注文していませんでした。2020年5月には成人の16%が初めてオンラインで食品を注文しています。

一方、欧州(英国を除く)のオンライン食品配達サービスは発展途上にあります。マッキンゼーによれば、イタリア、フランス、ドイツでオンライン食品販売に非常に満足していると回答した人はわずか13~16%です。

こうしたことから、食品小売店はオーダーフルフィルメント業務の再調整を余儀なくされ、殺到する注文に対応するべく、多くの店は上記のようなサードパーティの配達会社を利用しました。

なぜオーダーフルフィルメントを内製化する必要があるのか

サードパーティによる配達は、食品配達における効果的なソリューションで、すぐにスケールアップ/ダウンできるのが唯一の利点ですが、オーダーフルフィルメントを内製化することにも利点があります。

お客様にとって、オーダーフルフィルメントと配達はショッピング体験の要です。万一お客様の玄関先で何かあれば、そのブランドのイメージは損なわれてしまいます。

このため、店はきちんと対応する必要がありますし、委託する配達会社にもそれを期待することになります。

サードパーティによる配達サービスの利用には、直接的なカスタマリレーションシップの喪失にとどまらないデメリットがあり、価格設定やコストの管理が制限されるといった経営上の問題も生じます。

また、オーダーフルフィルメントの進化は今後も続くものと見え、例えば多くの店は現在、1時間単位で配達時間帯を指定できるように検討を進めています。

フォレスターのDigital Experience Reviewによれば、カーブサイドピックアップ(店舗前の歩道などで商品を受け取ること)や即日配達など、オンライン注文におけるフルフィルメントの選択肢は増えているそうです。

同レポートは、「クラス最高のブランドは、商品在庫を特定できたり、好きなフルフィルメントを簡単に選択できたりするなど、エンドツーエンドのエクスペリエンスに配慮して周到なショッピングを支援している」としています。

こうした背景からECストアに新たなボトルネックが浮上し、店はプレッシャーを抱えています。しかし、スキャンディットのコンピュータビジョン技術を採用すれば、オーダーフルフィルメント戦略を迅速にスケールアップできます。

スマートフォンで稼働するスキャン技術でオーダーフルフィルメントシステムの構築

バーコードスキャンデバイスは、小売店にとって目新しいものではありません。店内にあふれるほど置いてあり、さまざまな作業に使用されています。

スマートフォン型スキャナは事実上、オーダーフルフィルメントのプロセス全体に対応するため、オーダーピックアップ、店内ピッキング、パッキングを1台のデバイスで処理できます。

各店員が1台のデバイスであらゆる作業に対応できるわけです。

スキャンディットのBarcode Scanner SDKを使用したスキャンアプリのパフォーマンスは、店内にある多くの専用スキャンデバイスに引けを取りません。

以下のビデオでそれが分かります。

光の反射や湾曲といった悪条件でのスキャンディットのバーコード読み取り能力をご覧ください。

しかも別の利点もあり、スタッフはスマートフォンアプリのほうが使いやすいということを示す調査結果もあります。スマートフォンは仕事以外でも使い慣れているため、そのUXやワークフローが好まれるのです。

パンデミック後のオーダーフルフィルメントの変化に伴い柔軟性が鍵に

食品配達の事例に戻りましょう。スマートフォン型スキャナのおかげで、同社は数千人のオーダーピッカーを新規採用し、効果的に労働力を倍増できました。

Scanditは2万機種を超えるデバイスにシームレスに対応するため、BYOD(私有端末の業務利用)戦略を採用して新規スタッフを雇用できたのです。

同社は迅速にスケールアップする必要があり、10万人の新規従業員を雇用して労働力を倍増した結果、契約スタッフが所有するデバイスを含めて、あらゆるスマートデバイスで高性能なスキャン機能を利用できるようになりました。残念ながら、テストしたオープンソースのスキャンソフトウェアには不可能なことです。

スキャン機能は同社のショッパーにとって不可欠であるため、高速でミスのないソリューションを求めていましたが、商品の受け取り時にお客様から配達証明を取得する機能も必要とされました。

このような柔軟性を確保したことにより、あちこちにダークストア(ネット販売専用の物流センター)が誕生しています。その一方で、大型店に果たしてあれだけのスペースが必要か、という疑問も生まれています。

オンライン販売が増えてきたら、すぐに売り場の大部分を閉めてダークストア化し、スーパーマーケットの主要部分の営業だけを継続することもできるわけです。

つまり、売り場スペースの使い方と店員の働き方の見直しが進んでいるのです。

オーダーフルフィルメントがブランド体験の鍵を握る

フォレスターのDigital Experience Reviewによれば、カーブサイドピックアップや即日配達など、オンライン注文におけるフルフィルメントの選択肢は増えているそうです。

オーダーフルフィルメントは小売ブランド体験の要となりつつあり、お客様はより豊富で迅速な配達オプションを期待しています。

こうした理由から、店はオーダーフルフィルメントの内製化を検討する必要がありますが、全体的な店舗運営に応じてスケーラブルかつ柔軟に実行しなければなりません。

スマートフォンで稼働するスキャナ技術はその解決策となります。しかも、すべての店員が最適なツールを使用して注文品を処理し、配達できるだけでなく、その同じデバイスを使用して他のさまざまな作業もこなせるのです。