ファッションストアのスキャン業務におけるスマートフォンの活用例

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Stocking taking retail

2020年は、ファッション業界にとってかつて直面したことのないような破壊的な年でした。変化する厳しい小売環境の中、多くの店舗が休業や営業規制を余儀なくされました。一方、売上の減少や購買行動の変容に適応するため、業務の負担は増加しています。

現状を把握して、将来を見据えた課題解決に取り組みましょう。回復を促し、将来の成功につなげるために、次のような優先すべき課題があります。

  • 収益の最大化
  • 店舗コストの最小化
  • 消費者と企業ニーズに即した、円滑な店舗運営

最適なテクノロジーによって、これらのビジネス課題はすべて解決できます。

しかし、これ以上の混乱を受け入れられない場合には、シームレスに業務に組み込んで、短期的・長期的に目に見える成果が得られるソリューションが必要です。店舗業務で、スマートフォンにインストールしたスキャン機能付きアプリを活用することは、ポストパンデミックの世界で簡単に導入・利用できる、定評あるソリューションとされています。

スマートフォンを活用できれば、従業員は使い慣れた1台のデバイスで数多くの店内業務をこなせるようになるため、迅速かつ効率的に作業できます。プロセスの最適化とビジネス価値の最大化が可能です。

ここでは、アパレル業界の店舗業務におけるスマートフォン型スキャナの活用例について詳述し、4つの大きなメリットについて説明します。

メリット1:総保有コストの削減

アパレルの小売業者にとって、経営安定のための経費削減が必須であることは言うまでもありません。

スキャン機能は、在庫追跡や棚卸し、棚管理といった数多くの小売業務で必要とされる基本要件です。W1人の従業員がシフト当たりにスキャンする回数は通常、数百回にのぼります。 スキャンディットのテクノロジーを採用して、高価な専用スキャナからコスト効果の高いスキャン機能付きスマートフォンに移行すれば、スキャン性能を犠牲にすることなく総保有コスト(TCO)を削減できます。

また、スマートデバイスを使用したスキャンディットのソフトウェアスキャンソリューションのTCOは、従来の専用スキャナに比べ、およそ3分の1になります。

このため、店舗ごとに単機能のハードウェア型スキャナを何台かプールして共同で利用するのではなく、スキャン機能付きのスマートデバイスを全従業員に持たせることができます。スキャンディットのテクノロジーを搭載したスマートフォンなら、読み取り困難な条件(暗い倉庫や破損したラベルなど)でも高速・高精度のスキャンが可能であり、幅広い作業をこなしながらコストを削減できます。

Stocking taking retail

デバイスを共有しないことは、感染症対策の観点からも望ましいアプローチと言えます。

さらに、繁忙期にスタッフの増員が必要となれば、BYOD(Bring Your Own Device/私有端末の業務利用)モデルを活用して臨時スタッフに各自のスマートフォンを使って業務をしてもらうこともできます。スキャンディットのテクノロジーを組み込んだスキャン機能付きアプリをダウンロードするだけで、2万機種以上のデバイスで、エンタープライズ要件を満たす高性能なサービスを利用することができます。小売業者にとっては、ハードウェアコストがかからないだけでなく、アプリベースのアプローチと各自の使い慣れたデバイスを組み合わせることで、トレーニング時間も最小限に抑えられます。

メリット2:少ないリソースで多くの成果を上げながら効率性と生産性も向上

会社保有のスマートフォンでもBYOD方式でも、あるいはその両方を組み合わせても、結果的にさまざまな業務において、デバイスを使える従業員が増えることになります

スタッフはこれまで、勤務時間中、業務やワークフローによって複数のデバイスを使い分ける必要がありました。 シングルデバイス戦略に移行すれば、各店員が1台の多機能デバイスを使ってあらゆる作業をこなせるようになり、生産性の向上が期待できます。

スタッフは、モバイルデバイスのクライエンテリングアプリを使った店頭でのお客様サポートから、必要に応じてシームレスに作業を切り替えて、商品をピッキングしてオンライン注文を処理したり、バックルームで在庫チェックしたりすることができます。

ラックのすべての衣料品を素早く簡単にスキャン。

スキャンディットのテクノロジーを採用したスマートフォンを使用すれば、小売業者は次のような生産性向上につながる数多くのメリットがト得られます。

  • 1日当たり11,000人時の削減 – フランスのある大手小売業者は、「スマートフォンにスキャディットのスキャン機能を追加して、多大な労力を要している手作業による店内業務を自動化すれば、企業全体で1日当たり11,000人時間削減できる」と試算しています。
  • 共有デバイスを使用しないことで業務効率が34%向上 – 中東のある大型スーパーは、「1台のデバイスで複数の作業を行えるようにすれば、業務効率が在庫管理だけで10%、全体で34%向上する」と推計しています。

結局、そんなに多くの端末を持ち運べないということです。 スマートフォン型スキャナなら、スタッフがさまざまなデバイスを抱えて疲弊することはありません。 スキャン機能だけでなく、電話を使った業務も行えるため、生産性はさらに向上します。

メリット3:在庫精度の向上、オーダーフルフィルメントの強化、コスト削減

倉庫での在庫チェック。

オンライン注文の急増により、アパレル業界では、在庫の詳細や保管場所をリアルタイムに正確に把握できることが極めて重要になっています。

実際、余剰在庫を抱えているとそれをさばくために大幅な値引きをすることになり、場合によっては数百億円の減収につながります。なお、マッキンゼーの調査によれば、2020年に定価で購入された商品はわずか60%ということです。

従来の在庫確認方法では、全体の65%程度しか正確な数量が得られないと言われています。手作業によるミスがあったり、システムが更新されていないために不正確なデータに基づいて判断を下し、お客様に不満を抱かせる可能性もあります。

全従業員にスキャン機能付きのスマートフォンを持たせて、バックエンドシステムとシームレスに連携すれば、商品をスキャンするたびに在庫データがリアルタイムで更新されますまたScandit Barcode Scanner SDKを使用すれば、スマートフォンでも専用のハードウェア型スキャナと同様に信頼性の高いスキャン性能が得られます。

このため、棚卸しや在庫補充などでスキャンされた信頼性の高いデータが、シームレスに在庫管理システムに取り込まれます。これにより、店舗ネットワーク全体の在庫の動きを把握できるようになり、リアルタイムの在庫精度が店舗では最大98.5%に、オンラインでは99.99%に向上します。

英国に拠点を置くある大手スポーツファッション小売業者の例をご紹介します。この会社では、従業員がScanditのスキャン機能を備えたスマートフォンで在庫カウントを行うようになって可視性が向上した結果、過剰在庫が減り、お客様の需要に基づいて、迅速かつ適切に意思決定を下せるようになりました。

メリット4:従業員の満足度と定着率の向上

実店舗にお客様を引き戻すひとつの大きな差別化要素は、快適なカスタマーエクスペリエンスの提供であり、それには店員が重要な役割を果たします。従業員が満足して力を発揮することが、お客様の満足につながります。

従業員に1日中楽に持ち運べる軽量・大画面の最新型スマートデバイスを支給することは、高い従業員満足度を維持するための一つの方法です。スキャンディットが小売業者と行った広範なユーザーテストの結果、従業員はスマートフォンの使用に関して人間工学的なデザインやエクスペリエンスを好むという報告が寄せられています。調査対象には過去、長年にわたってハードウェア型スキャナを使用してきた経験豊富な従業員も含まれています。

スマートフォンの形状がもたらす、もうひとつのメリットは、店内のどこにいても自分のデバイスですぐに重要な情報にアクセスできることです。

  • シフト当たりの歩数が半減 – あるスキャンディットのお客様によれば、従業員がスマートデバイスを使用するようになって、シフト当たりの平均歩数が半減したということです。これは顧客の質問に答えたり、在庫の有無をチェックするためにバックルームや固定端末まで足を運んで情報にアクセスする必要がなくなったためです。
  • 非接触による業務安全性の向上 – 全従業員に各自専用のデバイスを支給することにより、仕事に対する満足度はもとより士気や安心感も向上します。新型コロナウィルス感染拡大時には、共有デバイスへの接触を減らせるので安心です。

将来のイノベーションに向けたプラットフォームを構築しながら、今すぐ具体的なメリットを得る

これまで説明した4つの項目は、スマートフォンをアパレルの店舗業務に導入することで、顕著なビジネスメリットを得て、ビジネスのポテンシャルを把握できるようになる事例のほんの一部です。 既存の業務に極めて迅速に導入でき、混乱を最小限に抑え、何より多大な先行投資を必要としません。

非常に柔軟なソリューションであるため、企業とお客様ニーズの変化に合わせてオペレーションを変更できます。 モバイル・コンピュータビジョンを採用したスマートフォン型スキャナは無限の可能性を秘めており、拡張現実(AR)ID Scanningといった革新的なテクノロジーを活用して効率化を進め、新しいカスタマエクスペリエンスを提供し、ブランドを差別化できます。

詳細については、ガイド「スマートフォン型スキャナとARによる新時代に向けたアパレル業界のデジタル変革」をご覧ください。