Lekkerlandが実現したユーザー中心のB2B発注プラットフォーム

主な結果

  • 優れたスキャンUXと高いパフォーマンスを実現し、5,000社以上の取引先に対応
  • ハードウェアおよびソフトウェアの保守コストを削減
  • 将来を見据えた柔軟な開発体制を確保

統合

地域

オランダ、ベルギー

業界

小売り

使用事例

B2Bオーダープラットフォーム

Lekkerlandは、ドイツ・ケルンに本拠を置くスーパーマーケットおよび観光業界大手のREWEグループの子会社であり、コーヒーや軽食など、外出先での手軽な消費に特化した、ヨーロッパ有数のB2B卸売業者および物流サービスプロバイダーです。

65年以上、オランダ、ドイツ、ベルギー、スペインの4カ国にわたって、ガソリンスタンドの売店、キオスク、コンビニエンスストア、ファストフード店など、多様で広範な小売ネットワークにサービスを提供しています。ベルギーとスペインでは「Conway」ブランドでサービスを展開しています。

Lekkerlandは、オランダ国内だけで3つの配送センターを運営し、750人以上の従業員を抱え、8,700以上の販売拠点に、自社ブランド製品やその他の有名ブランド商品を供給しています。

取扱商品は菓子類、飲料、スナック、ファストフード、生鮮品、たばこ製品、テレフォンカードなど多岐にわたります。これらの商品は、常温・冷蔵・冷凍の3温度帯に対応した160台の専用トラックで安全に配送されており、注文から納品までのスムーズなフルフィルメントプロセスを実現しています。

Lekkerland Netherlandsは、今後も顧客にとって「身近で便利なパートナー」であり続けるため、デジタルトランスフォーメーションへの取り組みを始めています。最初にして最も重要なステップは、すべての顧客、サプライヤー、訪問者に向けて、高性能なバーコードスキャン機能を備えた、一貫性がありユーザー中心の卓越したB2Bオーダープラットフォームを構築することでした。


Scanditスマートデータキャプチャを活用することで、あらゆるデバイスにおいて優れたユーザー体験を実現し、B2Bアプリ全体を通じて、顧客の業務をこれまで以上にスムーズかつ効率的に行えるようになり、真の利便性を提供できると考えています。

Lonneke Pezie氏、Lekkerland Netherlands、Eコマースコンサルタント

課題

Lekkerlandは常にデジタル化の潮流を捉えてきました。2003年には、オランダとベルギーで初のWebショップを立ち上げ、顧客がすべての商品をオンラインで注文できるようにしました。

そして2018年にLekkerlandは、業界全体の進化やユーザー行動の変化、さらには業務負荷の観点から、モバイルを中心としたシステムへの移行が不可欠であると判断しました。その背景には、多くの顧客がPDA(携帯情報端末)を使ってバーコードをスキャンして注文しており、その維持コストが同社にとって大きな負担となっていたことがあります。個人のスマートフォンから簡単にアクセス可能なオーダープラットフォームの構築は、Lekkerlandの掲げる顧客中心の理念を体現するものであり、同時に大幅なコスト削減にもつながると判断されました。

Lekkerlandは、段階的な導入計画の一環として、まずオランダとベルギーの両国で、iOS版およびAndroid版の2種類のモバイルアプリを開発しました。当初の構想どおり、これらのアプリは、Webショップからの注文とそのクレーム情報を同期し、ルックアンドフィールの統一感を保ちながら、新たなワークフローに対応するバーコードスキャン機能も搭載しました。しかし、PDAからスマートフォンへの移行を成功させるには、アプリのユーザーエクスペリエンス(UX)とスキャンエンジンが決定的な差別化要因となることが不可欠でした。既存のシステムと大差がなければ、ユーザーが新しいアプリを利用する理由はありません。

Pezie氏は次のように述べています。「ユーザーエクスペリエンスは非常に重要です。なぜなら、このプラットフォーム自体が、顧客が日々利用する商品だからです。もし顧客がこの商品を採用しなければ、この新たな取り組みが失敗することになります。」

スマートフォンに標準搭載されているネイティブのスキャン機能では性能が不十分であることは、すぐに明らかになりました。スキャン速度の遅さや精度の低さに加え、誤読や読み取り不能といった問題が頻発し、顧客にとっての利便性が著しく損なわれていたのです。この課題を受け、Lekkerlandはより高性能なスキャンソフトウェアの導入を検討し始めました。そこで候補となったのがScanditの バーコードスキャナーSDKです。

「スキャンの性能こそがこの製品の中軸であることに気づき、Scanditへ問い合わせることを決断しました。ストアからテスト版をダウンロードして、試してみたところ好感触。パイロットプロジェクトの機会を得ることができ、成功したため、その後すぐに顧客と一緒に検証しました。すると、顧客がすぐに「いつ導入できるのか?」と聞いてきたのです。」

その後、オランダとベルギー全体でLekkerland24とConway24モバイルアプリの展開を開始し、顧客からは非常に好意的なフィードバックが寄せられました。その採用は急速に進み、PDA端末は徐々に廃止されていきました。


User interface of the Lekkerland24 iOS app
User interface of the Lekkerland24 iOS app

点と点をつなぎ合わせる

これらの2つのモバイルアプリは、ユーザーエクスペリエンス(UX)の大幅な向上とハードウェア保守コストの削減という重要な成果をもたらしましたが、Lekkerlandのデジタルトランスフォーメーションは、それだけでは終わりませんでした。オランダとベルギーの両国で、会社のWebサイト、Webショップ、2つのモバイルアプリ、2つのバックエンドシステムを同時に維持および運用していたため、リソースの大きな消耗を招いており、継続的な開発や最適化にとっても大きな障害となっていたのです。

さらに、Webショップは古いプログラミング言語で構築されていたことから、限界を迎えつつあり、小さな変更を加えるにも開発者のリソースを多く使うことになり、ルックアンドフィールの刷新や新機能の導入も事実上できない状態でした。

2020年代の初めには、顧客が期待するレベルでサービスを提供することが難しくなりつつあり、重大な局面を迎えていました。

解決策

Lekkerlandは、すべてのチャネルを一本化し、顧客・サプライヤー・訪問者すべてが利用できる統合B2B発注プラットフォームに置き換えました。これにより「誰もがワンエントリーで、非常に簡単にLekkerlandと取引できる」ようになりました。

オランダのLekkerlandとベルギーのConwayは、2022年末にこの新プロジェクトを始動し、プログレッシブWebアプリ(PWA)への移行を目指しました。PWAとは、モバイルアプリのような操作性と表示を備えたWebサイトで、より快適で直感的な体験をユーザーに提供します。

モバイルアプリによる商品補充のための発注において、スキャン機能が非常に重要かつ必要とされていたため、Lekkerlandは、PWAにも同様の機能を搭載する必要があると考えました。これは、優れたユーザーエクスペリエンスを実現し、最終的に利用率を高めるためです。

そのために選ばれたのが、Web向けのScanditバーコードスキャナーSDKでした。このSDKはLekkerlandの要件を完全に満たしており、わずか数行のコードで高性能かつ信頼性の高いスキャン機能を新しいWebアプリに組み込むことが可能です。

Lekkerlandは、このSDKの実力を確かめるべく、独立系ソフトウェアベンダーと協力して新プラットフォームのプロトタイプを開発しました。Web SDKのテストライセンスを活用しながら構築と検証を行い、Scanditのサポートを受けつつ最適化を重ねた結果、最終的に完全な機能を備えたWebショップを完成させました。

このプロセス全体を通して、18か月にわたってユーザーおよび現場でのテストを繰り返し実施し、スキャン性能の検証とユーザーエクスペリエンスの磨き上げを行いました。Lekkerlandは、食品小売業で直面することが多い以下のような一般的なユースケースにおいて、スキャン性能を綿密に検証しました。

  • 暗い場所でのスキャン
  • 多少離れた場所や斜めの角度からのスキャン
  • インターネット接続がない状態でのスキャン難しいバーコードのスキャン(例:湾曲した商品、光の反射がある場合、非常に小さなバーコード、冷凍されている商品、しわや破損のあるコード)

こうした厳しい条件下でのテストをScanditのWeb SDKはクリアしました。Scanditは20,000以上のスマートデバイスとの互換性を備えており、あらゆる端末において優れたスキャン速度と高い精度を発揮しました。こうした結果を通じて、Lekkerlandはこのプロジェクトが技術的に十分実現可能であるという確かな手応えを得ました。

UXの重要性

UXに関しては、Lekkerlandは従来のモバイルアプリのUI/UXをベースに一部を調整しつつ、ユーザーから寄せられた「こうしてほしい」「これが使いやすい」といった声を常に重視し、積極的に反映させました。さらに、近年ではB2Bユーザーであっても、日常的に利用しているB2C向けのeコマースと同様のスムーズで直感的なエクスペリエンスを求める傾向が強まっており、これも設計における重要な要素となりました。

「今回のプロジェクトで私が学んだのは、時間がかかるということです。顧客の要望を聞く、テストする、インタビューをすることはとても大事です。しかし、Scanditと一緒に仕事をして感じたのは、事前にいろいろと試せる柔軟性の素晴らしさです。この投資が正当であることを、自分たち自身が納得し、経営幹部にも安心してもらえる形で示すことが重要でした。」

最終的に、新しいプラットフォームでは、顧客による請求書を確認したり、配送状況をリアルタイムに追跡したりする機能が追加される予定ですが、スキャン機能は今後も中核であることに変わりはありません。これにより、顧客はスムーズに注文や補充発注を行えるだけでなく、在庫の確認やお気に入りリストの作成、さらにはクレームの登録までも可能になります。まさに、ユーザー中心のワンストップショップとして、優れた利便性がもたらされるのです。

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成果

Lekkerlandは2024年7月に新しいB2Bオーダープラットフォームのベータ版を無事に立ち上げ、現在は5,000社の顧客への展開を進めています。どのようなデバイスを使っていても、ユーザーは一貫性のある優れたユーザーエクスペリエンスを享受できます。これは、同社が掲げる、新規顧客獲得の拡大、コンバージョン率の向上、リテンションの強化という目標を力強く後押ししています。

すべてのユーザーの移行が完了した後、オランダのLekkerlandとベルギーのConwayは、現在のモバイルアプリを段階的に廃止する予定です。これにより、ソフトウェアの保守コストが大幅に削減され、業務効率の向上が期待されています

さらにこの取り組みにより、創業65年となるLekkerlandは、より柔軟な開発体制を実現し、未来を見据えた進化を遂げるでしょう。従来のモバイルアプリやwebショップは、単に機能を提供するものでしたが、PWAはプロモーション、レコメンド、メッセージ配信などを通じて、ユーザーに新鮮な喜びを提供できる数多くの可能性を秘めています。その中核にあるのがバーコードスキャナー機能です。たとえば拡張現実と組み合わせれば、さまざまな業務フローをより魅力的な形で実現することも可能です。

現在、Lekkerlandは既存ユーザーのスムーズな移行と、ユーザーからのフィードバックをもとにしたプラットフォームの最適化に注力しており、Scanditはその全てのプロセスに携わっていることを誇りに思っています。

「Scanditがいなかったら、どうなっていたか想像ができません。PWAへのプラットフォーム移行プロジェクトにおいて求められた、高品質なスキャンUXと精度は、Scanditなしでは実現できなかったでしょう。これらのスキャン機能こそが、すべてのパートナーに真の価値と利便性をもたらす重要な鍵となったのです」とPezie氏は述べています。