首都圏にスーパーマーケットを展開するマルエツ、カスミ、マックスバリュ関東の3社の連合であるユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス株式会社(U.S.M.H)は、Scandit Smart Data Captureを搭載したピッキングアプリを活用し、ネットスーパー(オンラインデリバリー)におけるピッキングとパッキング(従業員が顧客の注文品を揃える作業)の業務効率化を実現しました。次にその成功を経て、セルフスキャン&オンラインデリバリーモバイルアプリ「Scan&Go ignica」にも同テクノロジーを搭載することにより、顧客は自身のスマートフォンで商品のバーコードをスキャンして買い物ができるようになり、結果、待ち時間のない快適なショッピングを実現しました。現在では、マルエツ、カスミ、マックスバリュ関東を含む500店舗以上で導入されており、非接触、キャッシュレスに対応したスムーズな買い物体験で好評を得ています。

“当社は中期経営計画として「デジタルを基盤とした構造改革の推進」を掲げており、Scandit Smart Data Captureの導入もその取り組みの一環です。その高いスキャン性能によりネットスーパー(オンラインデリバリー)のピッキング業務の効率化を実現しました。そして、今ではお客様が自身の様々なスマートフォンでScan & Go ignicaを利用し、商品をスキャンしたり店内のイベント情報を取得することを可能にするためにスキャンディットはなくてはならない技術として位置付けられています。”
ユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス株式会社
デジタル本部 部長
兼 デジタル開発ユニットマネージャー
角野 泰次 氏

課題

スキャンエラーゼロでスキャンディット導入を即決

U.S.M.Hは2019年10月に、スマートフォンのカメラによる商品スキャン機能と決済機能を搭載する「U.S.M.H公式モバイルアプリ」を提供開始し、2020年11月にScan&Go ignicaへと改称するとともに、マルエツやカスミ、マックスバリュ関東などにおいて対応店舗を拡大してきました。しかし、リリース当初はスキャンするときの読み取りスピードの遅さや読み取りエラーの頻発が課題となり、アプリユーザーからクレームが寄せられることもありました。

同社はこの課題を解決するため、新たなスキャンエンジンの導入に向けてScandit Smart Data Captureのスキャン性能について社内で検証を行いました。店舗内のさまざまな場所で、あえて光の反射など、スキャンエラーが発生しやすい環境で干物、缶詰、冷気で霜がついたアイスなどスキャンが難しいものも含め、200種類の異なる商品のバーコードのスキャンテストを行いました。スキャンディットと他2社を比較検証した結果、他社のスキャンエンジンでは誤認識が発生したのに対して、Scandit Smart Data Captureはスキャンエラーゼロ、かつスキャン平均速度も圧倒的に高速であることが確認できました。角野氏は当時の検証結果について、以下のように語ります。

「実験前はそれほどの差は無いだろうと思っていたのですが、実際に使ってみるとかなりの差があり、驚きました。他のスキャンエンジンでは、条件の悪いものだと30秒かかっても読み取れないことがありましたが、Scandit Smart Data Captureではそのようなバーコードでも瞬間的に読み取ることができました。この性能であれば、お客様の利便性向上とアプリ利用率の向上が大きく期待できるので、導入を即決しました」

USMH_comparison_JP_Case-Study

コロナ禍により非接触対面のニーズが増加するとネットスーパーとScan&Go ignicaのユーザーが増加し、オンラインデリバリーのピッキング業務の対策が急務となりました。スキャン性能に関する比較検証期間を終え、2021年8月、U.S.M.Hはまず初めに、自社の展開するネットスーパーのサービス「オンラインデリバリー」で使用する従業員向けのオーダーピッキングアプリにScandit Smart Data Captureを導入しました。

ネットスーパー(オンラインデリバリー)のピッキング作業について、元々はハンディターミナルを利用していました。しかし、オンラインデリバリーの業務拡大に向けて高価なハンディターミナルからの脱却を目指し、Android(*1)のタブレットで稼働するピッキングアプリを開発し、そのテスト運用を一部の店舗で始めました。しかし、タブレット搭載のカメラはスキャン精度が低く、さらに不定貫商品(食肉、魚、等の量り売りなど個体ごとに金額が違う商品)に至っては、結局、手入力が必要で、現場の従業員から「使い物にならない」と不満が出る状況でした。

Scandit Smart Data Captureの導入にあたっては、アプリ開発会社と連携しつつ、スキャンディットからのサポートを受けながら開発が進められました。「実際にスキャンしている作業を撮影した動画を見ていただき、どのようなチューニングをすれば商品のバーコードを一番よく読み取れるか、細かい点についてサポートを受けました。コミュニケーションはオンライン上で行ったのですが、とても早くレスポンスをいただいたのでスムーズな導入が出来ました。」(角野氏)

結果

オーダーピッキングアプリ

オーダーピッキングアプリのスキャンエンジンをScandit Smart Data Captureで運用開始した効果3点を角野氏に語っていただきました。

  1. 高価なハンディターミナルから脱却し、TCOの削減を図りつつ、迅速に全店展開することが可能でした。
  2. ピッキング業務自体が、簡素化されたので、特殊な知識がなくても新人や他店からのヘルプスタッフでもアプリの指示通りに動けば業務に就くことができるため、人材の有効活用、有効配置という意味でも効果的です。空いたリソースは現在、リアルタイムの在庫管理に充填され、オンラインスーパーにとって要である「在庫状況のリアルタイム可視化対策」にシフトしています。
  3. ハードウェアは同じなのにスキャン性能が格段に良くなり、現場のスタッフからは「使いやすい」と大好評で、ピッキングやパッキングの作業には欠かせないアプリになりました。

現在、U.S.M.Hでオンラインデリバリーに対応した119店全店においてScandit Smart Data Captureを搭載したアプリを使用して商品のピッキングやパッキングを行っています。今後は店内のマップをアプリ上に表示させて、ピッキングする商品がどこにあるのかを案内する機能も搭載する予定です。

ソリューション

Scan&Go ignica

導入により顧客の快適なセルフスキャンを実現、一部店舗では顧客単価7%UPも

ピッキングアプリでの成功体験でそのスキャン精度と速度は証明済みであった為、続いて2022年1月にはScan&Go ignicaにもScandit Smart Data Captureが導入されました。Scan&Go ignicaは、店を訪れた顧客が自身のスマートフォンを使って商品をスキャンし、決済もスマートフォン上で行えるアプリです。これを使うことによりレジ会計が不要となり、行列に並ぶことなく買い物をすることができます。

Scan&Go ignicaはU.S.M.H傘下のカスミやマルエツ、マックスバリュ関東などで利用可能なほか、ディスカウントストアのパレッテなどに対してアプリの外販も行っています。同アプリは現金や店員と接触する機会を減らせるため衛生的であり、近年のコロナ禍によって利用者数を大きく伸ばしています。

同アプリにScandit Smart Data Captureを導入した当初は、スキャン性能が格段に向上したことに気付いたユーザーから、SNS上で大きな反響がありました。

「スキャン性能が大きく向上したため、スーパー内でのお客様の動きの速度に合うよう、スキャン速度をスローダウンして調整などしたほどでした。今やScandit Smart Data Capture無しではScan&Go ignicaは成り立たないくらい重要なものであると考えています」(角野氏)

Scan&Go ignicaアプリでのスキャンの様子

結果

Scan&Go ignica

「現在、Scan&Go ignicaの利用率は、店舗や地域によってまちまちですが3%から10%ほどです。さらに、茨城県つくば市にある「BLΛNDE(ブランデ)」ではScan&Go ignicaの利用率が30%と高いこともあり、セルフPOSが混み合うことも殆どありません。また、一部の店舗ではScan&Go ignicaの利用顧客において顧客単価7%増加との結果も出ています。当社試算では、アプリ利用率が10%になるとレジを1台減らすことが可能となり、人件費の削減や有効配置にもつながります。よって今後はScan&Go ignicaの全店平均利用率10%を達成することを目標に、さまざまな取り組みを行っていきたいと考えています。」(角野氏)

今後に向けて

バーコードスキャンだけでなくOCRやARの導入にも意欲的

U.S.M.Hは来年度、基幹システムの変更予定で、その折には在庫管理や仕入れ管理にもScandit Smart Data Captureを利用の予定です。

ネットスーパー(オンラインデリバリー)では正確な在庫量をリアルタイムに把握できないことが原因で、顧客の注文に対して欠品が発生してしまうことが課題となっています。対策として各店舗の店頭や倉庫にある在庫の数量や仕入れの数量などをリアルタイムに把握することができれば欠品の発生を防止できます。U.S.M.Hでは、既にスキャンディットの導入効果により空いたリソースをリアルタイム在庫確認に充員したりなど取り組みを始めています。「今後は在庫管理からピッキングまで、バーコードスキャンの性能向上によって良くなる部分にはすべてScandit Smart Data Captureを導入し、全体を効率化していきたいですね」と角野氏は意欲的に語ります。

また、同社は今後、OCRやARなど、バーコードスキャン以外のScandit Smart Data Captureソリューションを導入することも検討していると話します。

「製造年月日や消費期限など、バーコードには載っていない情報をOCRで読み取ることで、在庫管理に役立てることが可能となります。また、商品をスキャンするとARで値引き情報が表示されるようにすれば、値引きシールを貼る手間も不要となります。今後、セルフスキャンで商品を買うスタイルが普及するにつれて、そのようなニーズが高まることも考えられるので、OCRやARの導入も積極的に取り組んでいきたい」と角野氏に今後の展望も語っていただきました。

小売業界全体の課題として、人手不足が深刻な中、U.S.M.Hは高性能スキャンテクノロジーの活用で従業員の業務を楽にする仕組みを導入し、人材確保に取り組んでいます。そして顧客に対してはスマートフォンのスキャンを通じてより良いサービスを提供しつつ、デジタルとオフラインを融合するイノベーションを日々実践しています。

(*1) Android は Google LLC の商標です。

 

お客様導入事例

イオンリテール「レジゴー」イオンリテール「レジゴー」 – 利用者の67%以上がリピート意欲を示す、超高速で革新的なセルフスキャン・レジイオンリテール「レジゴー」

利用者の67%以上がリピート意欲を示す、超高速で革新的なセルフスキャン・レジ

オーケー – 店舗オペレーションの効率化とスタッフの負荷軽減により、ピッキングミス率ほぼ0%を達成

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Instacart

Instacart、Scanditの「バーコードスキャナSDK」でBYODモバイルスキャンアプリを成功に導く