Category: 2D Symbologies
Data Matrixコードは、データをコンパクトなグリッド状に保存・読み出すことができる2次元バーコードです。黒と白の正方形(または長方形)をマトリクス状に並べたパターンで構成されています。
Data Matrixバーコードリーダーは、画像処理技術を用いてこのパターンを識別・解析し、情報を読み取ります。
Data Matrixコードの特長は、限られたスペースに多くの情報を格納できる点にあります。最大で英数字2,335文字、数字3,116文字、または1,556バイトのデータをエンコードできます。
こうした高い情報保持能力により、Data Matrixコード(およびQRコード)は、GS1 Sunrise 2027イニシアチブのもとで、UPCやEANといった従来のバーコードの代替手段として導入が進められています。いずれも製品識別といった用途に対応しながら、より多くのデータを取り扱えるのが特長です。
Data Matrixコードの互換性とScanditの対応
Data Matrixコードは、カメラを搭載したモバイル端末で読み取ることが可能ですが、読み取りには専用のソフトウェアが必要です。iOSやAndroidの標準カメラに搭載されているQRコードリーダーでは、Data Matrixコードを読み取ることはできません。
Scanditのバーコードスキャンソフトウェアは、Data Matrixを含む主要なすべてのバーコード形式に対応しています。
特にData Matrixコードに関しては、ScanditのBarcode Scanner SDKが以下の機能を提供します:
- 傾きや歪みのある大型コードを含め、高速かつ高精度での検出とデコードが可能
- 背景と文字色が反転した「インバースData Matrixコード」の読み取りに対応
- GS1データを含むコードを自動的に識別し、構成要素の解析・抽出が可能
- 金属表面に刻印またはエッチングされたコードの読み取りを可能にする「DPM(ダイレクトパーツマーキング)モード」を搭載
Scanditのソフトウェアは、あらゆる主要プラットフォーム・開発環境・端末に対応しており、以下を含む多様な環境で利用できます:
React Native、iOS(ネイティブ)、Android(ネイティブ)、JavaScript、Xamarin、Flutter、.NET(iOS および Android)、Cordova、Capacitor、Titanium、IBM MobileFirst、SAP Fiori、Oracle Xstore など。
DATA MATRIX CODE SCANNER
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Data Matrixコードの主な用途
Data Matrixコードは、高い情報密度を持ち、限られたスペースで大量のデータを格納できるのが特長です。そのため、小型電子部品、製品ラベル、包装資材など、スペースに制約がある場面での利用に適しています。実際、米国の電子工業会(EIA)は、小型電子部品の表示にData Matrixコードを推奨しています。
主な活用分野は以下のとおりです:
- 物流・製造現場における製品の追跡・トレーサビリティ
- 電子部品・小型デバイスの識別
- 小売・流通での商品管理
- 医療業界における医薬品・医療機器の識別
(※Data Matrixコードは、GS1 Healthcareが唯一推奨している2次元コードです)
また、自動車、航空宇宙、電子機器業界では、部品への直接刻印(DPM:ダイレクトパーツマーキング)にもData Matrixコードが広く使用されています。レーザーやエッチングで恒久的に刻印されたコードにより、製品や部品の正確な識別が可能になります。
Data Matrixコードの特長:
- 非常に小型でありながら、高い読み取り信頼性を実現
- ASCII全256文字、ISO文字、EBCDIC文字などの多様な文字種に対応
- 最小サイズは2.5mm。データ量に応じたサイズ変更が可能
- コードのサイズと格納データ量が独立しており、柔軟なマトリクス設計が可能
- 最新のECC 200規格に準拠し、堅牢なエラー訂正機能を搭載
(最大60%の損傷にも耐え、読み取り可能) - ISO/IEC 16022:2006により国際標準化
バリエーション:Micro-Data Matrix
- Micro-Data Matrixは、製品のパッケージやPOS(販売時点)での利用を想定した小型バージョンで、省スペース用途に最適です。
よくあるご質問(FAQ)|Data Matrixコード
Q1. Data Matrixコードはいつ誕生したのですか?
Data Matrixコードは、当初 International Data Matrix Inc(ID Matrix)によって開発されました。その後、同社はRVSI/Acuity CiMatrixと合併し、2005年にシーメンス(Siemens AG)に、さらに2008年にはMicroscan Systemsに買収されました。現在、Data Matrixコードの仕様は多くの用途でパブリックドメイン化されており、複数のISO規格で標準化されています。
Q2. Data Matrixコードはどうやって読み取るのですか?
Data Matrixコードは、カメラ搭載のデバイスと専用のアプリを使って読み取ることができます。ScanditのBarcode Scanner SDKは、iOSやAndroidに加え、PhoneGapやTitaniumなどのプラットフォームでもData Matrixコードの読み取りに対応しています。
また、2次元バーコード専用スキャナーやオムニディレクションスキャナー(全方向読み取り対応機器)でも読み取ることが可能です。
Q3. iPhoneでData Matrixコードは読み取れますか?
理論上、カメラを搭載したiPhoneでData Matrixコードを読み取ることは可能ですが、標準のカメラアプリや一般的なApp Storeのスキャナーアプリでは対応していないことが多いです。Scandit Expressなど、専用のバーコードスキャンアプリの使用が推奨されます。
Q4. QRコードとData Matrixコードの違いは何ですか?
Data Matrixコードは、コードの左側と下側に「L字型」のファインダーパターンを持ちます。一方、QRコードは、右上・左上・左下の3つの角に正方形のパターンがあります。
どちらも2次元バーコードですが、Data Matrixコードはよりコンパクトで、限られたスペースでも高密度なデータを格納できるため、小型電子部品などの識別用途に適しています。
一方、QRコードはサイズがやや大きいものの、より多くのデータを格納でき、日本語(漢字)などのマルチバイト文字にも対応しているのが特長です。Data Matrixコードは、基本的に数字と英数字の情報に特化しています。