River Island(リバーアイランド)は、英国を代表するハイストリートファッション・ブランドです。同社は、自社の店舗全体でのデジタル・トランスフォーメーション(DX)に向けた革新的な取り組みの一環として、堅牢性の高いSamsung Galaxy XCoverスマートフォンで使用する従業員向けアプリに、スキャンディットのSmart Data Captureを統合しました。同社は、業務用スキャナーとしてハンディターミナルを使っていましたが、スキャンディット、Samsung、Microsoft Teamsで構築したスマートデバイスにリプレースしました。結果的に、カスタマー・エクスペリエンスが向上し、ワークフローのDXを実現し、店舗スタッフ同士がつながり合う、画期的な環境を実現しました。さらに、総保有コスト(TCO)も大幅に削減できました。

「Scanditの製品ドキュメントもわかりやすく、サポートも素晴らしいものでした。そして、当社が掲げる高い目標の達成に向けた取り組みを支えようという姿勢が、終始感じられました。技術的な観点でも、申し分のない対応でした。」

技術責任者 Paul Cooper 氏

課題

60年以上にわたりファッション小売業に携わるRiver Islandは、英国で最も良く知られているハイストリートブランドの1つです。その魅力は、スタイリッシュでありながらも手ごろな価格のファッションであり、英国全土で300店以上の店舗を構え、大規模なECサイトも世界中で展開しています。

River Islandでは、店舗業務のDXを図るとともに、継続的なイノベーションに向けて戦略を発展させたいと考えていました。特に、テクノロジーを活用することで、来店客と従業員、両方のエクスペリエンスの向上につながるものが必要でした。

River Islandはそれまで、単一用途のハンディターミナルを店舗業務に使用していました。時が経つにつれ、こうしたデバイスの購入や維持にはコストがかかるようになり、機能も限られていました。店舗内でのさまざまな業務には、それぞれ異なるデバイスが必要で、主に独自のソフトウェアのみを使用していたため、従業員の働きやすさにはプラスに働いていませんでした。

また、1台のハンディターミナルを最大4名の店舗スタッフが共有していたため、顧客の問い合わせにタイムリーに対応したり、スタッフ間や本社との間でやり取りしたりする上で、制約もありました。こうしたことが、最終的には店舗スタッフのやる気に悪影響を及ぼす環境を生み、カスタマー・エクスペリエンスの質も下げる結果となっていたのです。

River Islandでは、特にスキャン機能について適切なソリューションを選択することが重要だという実感がありました。新たなソリューションに切り替えるにあたり、人間工学や性能の点でこれまで使っていたものよりも劣るのであれば、店舗スタッフの心を掴むのは至難の業だったでしょう。

ソリューション

River Islandは、カメラベースのスキャンソリューションが解決につながると認識していました。それは、ハンディターミナルの刷新を意味することになりますが、デバイスを一新するということは、新たな機能利用への可能性が広がることにもなります。このことが、Samsung Galaxy XCoverスマートフォン上でスキャンディットのSmart Data Captureを使うという選択を後押ししたのです。ハンディターミナルのようなハードウェアベースのスキャン専用デバイスに対して、スマートフォンを導入することのコストメリットは非常に大きく、River Islandでは、店舗スタッフ一人ひとりに個別のデバイスを支給することができました。

river island in store scanning app

River Islandの技術責任者であるPaul Cooper氏は、次のように説明しています。「今回の改革は、それまでアクセスできなかった社内のITインフラの変更にも影響を与えました。このことで開かれた可能性は実に興味深く、今実現できるユースケースやエクスペリエンスの点で、大きなパラダイムシフトと言えます。」

ITの観点では、River Islandはもはや、高額なサポートやカスタムメイドの周辺機器といった、エンタープライズ・デバイスのエコシステムに縛られることがなくなりました。全社的なTCOに多大な影響を与えただけでなく、River Islandは、そのビジネスアプローチにおいて、はるかに大きな柔軟性を手にしたのです。

River Islandの店舗スタッフ全員に、スキャンディットを搭載した堅牢性の高いSamsung Galaxy XCoverスマートフォンを個別に支給したことで、スタッフは、問い合わせ対応に必要な情報をすぐに確認したり、商品情報を取得したり、在庫の有無を確認したりできるほか、来店客が入店した際にクリック&コレクト(オンラインで注文した商品の実店舗受け取り)の商品をすぐに渡せるよう、準備できるようになりました。またモバイルPOS(mPOS)の導入も実現し、店内のどこにいてもスタッフがその場で対応できるため、レジに並ぶ時間を減らすことができます。

River Islandキングズ・リン店のリーダーであるKerrie Toll氏は、「旧来のハンディターミナルからスキャンディットを搭載したスマートフォンへ切り替えたことで、カスタマー・エクスペリエンスが大幅に向上した」と説明します。Toll氏によれば「以前は、お客様からある商品の価格を知りたいと言われた場合、デバイスにパスワードを入力し、バーコードのスキャンを終えるまで情報を取得することが出来なかったため、お客様をだいぶお待たせしていました。今では、スマートフォンのサイドボタンを押すだけで、アプリから即座に商品をスキャンできるのです。この違いは、対応スピードと、こなせる業務量という点において、非常に大きなことです。本当にスムーズなのです。」

River Islandでは、Microsoft Teamsをスマートフォンに搭載することで、別個の無線ヘッドセットもひとつのデバイスに集約することができました。Microsoft Teamsはトランシーバー機能を備えており、Samsungデバイスのプッシュツートーク(ボタンを押している間、音声を送信できる方式)ボタンを使うことで利用できます。店舗スタッフは、ワンタッチで、スタッフ同士や本社との間で素早くスムーズにやり取りできます。さらに、タイムシートから新たなビジュアル・マーチャンダイジングの展開まで、ビジネスの別の面でも役立っています。今回の導入を機に、従業員向けの研修を効果的に実施したり、全社規模の通達を共有したりすることで、River Islandでは社内のエンゲージメントが高まり、強力なチーム文化が支えられ、従業員の定着率が向上しています。

成果

River Islandは、5,000名を超える店舗スタッフにスキャンディットを搭載したSamsungスマートフォンを個別に支給しました。これが、いくつものメリットにつながりました。

スキャンディットのSmart Data CaptureをRiver IslandのITエコシステムに統合することから始めましたが、ワークフローはシームレスでした。Paul Cooper氏は、次のようにコメントしています。「Scanditの製品ドキュメントもわかりやすく、サポートも素晴らしいものでした。そして、当社の意欲的な目標の達成に向けた取り組みを支えようという姿勢が、終始感じられました。技術的な観点でも、申し分のない対応でした。」

ロールアウトのスピードも迅速でした。わずか8週間でSamsungデバイスを従業員に支給し、スキャンディットのソフトウェアにおいては、数日で統合を完了しました。社内のインフラが抜本的に変更されたにもかかわらず、店舗スタッフが受けたトレーニングは、シンプルな1ページの説明書で済むほど簡単でした。ITチームが強く願っていたことは、スキャンの作業が従業員の心身の負担になってはならないということでした。新しい環境では、「スキャンの作業が大ごとではなくなり、本当に大成功です」とCooper氏は語ります。

river island scanning app

今回の変革は、店舗スタッフのモチベーションにも大きな変化をもたらしました。Cooper氏によれば、店舗を視察すると「店内の雰囲気が劇的に違って見えます。今は、驚くほどにすべてが素早く、価格は正確で、誰とでも簡単にコミュニケーションが取れます。明らかに店舗スタッフが活き活きとした表情をしているのです」

さらに、店舗スタッフの生産性も向上しました。シェフィールド・メドーオール店の旗艦店リーダーであるDan Butcher氏は、次のように述べています。「店舗が保有する在庫が即座に目で見てわかる、優れたツールです。これがあれば、チームは素早く効果的なお客様サービスを提供できます。また、店舗にストックしていないものもわかるので、店中の在庫を探し回って時間を無駄にすることなく、すぐにウェブサイトから発注できます。」

今後を見据え、River Islandでは、このテクノロジー・プラットフォームがもたらす将来的な可能性に、胸を踊らせています。ハードウェアの節約により投資回収率(ROI)が向上し、そこから可能性が開かれました。以前は長期的な制約のあるデバイス・エコシステムに縛られており、それが実現不可能だったのです。またRiver Islandでは、店舗がさらにつながり、実店舗とデジタル店舗の境界が薄れることでもたらす可能性も見出しています。Paul Cooper氏は、結びとして次のように語りました。「消費者は、ますます店内で自分のスマートフォンを使いたいと考えるようになるでしょう。つまり、商品に関心を惹きつけたければ、バーコードをベースとして利用する必要があり、その中心にあるのがScanditなのです。」

お客様導入事例

Decathlon

スポーツ商品を扱うデカトロンのシンガポールとインドの店舗は、限られた店舗スペースでも来店客が全ての商品にアクセスし、在庫不足を感じさせないショッピング体験をスマホレジアプリで実現しました。

Forum Sport

スペイン全土に70店舗展開するスポーツ用品店であるForum Sport社は、スマートデバイスで稼働する業務用スキャンアプリにScanditを搭載し、その高精度なスキャン技術により在庫管理の高速化を実現しました。

DCK Group

Smart Data Captureによって、商品のマークダウン(値下げ)プロセスの所要時間を50%短縮したファッションジュエリー小売り企業。従業員のエンゲージメントと満足度も向上しました。