今こそレーザスキャナのリプレースを 〜スマートフォン型スキャナにまつわる5つの先入観〜

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物流のラストワンマイル業務は複雑かつタフです。世界中の配送会社の間では、配送プロセスをデジタル化して安全で効率的な、ミスのないラストワンマイル業務を目指す傾向が強まっています。

デジタル化で世界の配送ピークに対応

世界的な配送量の急増に伴い、最前線で働くドライバや配達員は信頼性が高く、柔軟で、作業効率が上がるデータキャプチャ技術を必要としています。こうした理由から、物流・配送企業が選択するテクノロジとしてスマートデバイスがデファクト化しつつあります。

Global shipping stats

高性能で利便性が高く、使いやすいスマートフォン型スキャンソリューションによって、一般的な配送ワークフローの高速化や効率化、イノベーションが実現しています。低コストで迅速に拡張できるため、パンデミックに際して従来の専用スキャナと同等に有効であることが明らかになり、次のような結果につながりました。

  • 世界中で350万人の配送ドライバがスキャンディットのソフトウェアを採用したスマートフォンを毎日使用している
  • 年間50億個の小包や郵便物がスキャンディットでスキャンされている
  • 輸送・物流会社723社がスキャンディットを信頼している

スキャン機能は配送業務における重要な作業に欠かせないものであり、ラストワンマイルのテクノロジ(ソフトウェアとハードウェア)の選択は、効率化とビジネスベネフィットの実現に重大な影響を及ぼします。

スマートフォンに対する誤った先入観は根強い

ところがスマートフォンとスキャン機能付きモバイルアプリをラストワンマイルに導入・実装することに関しては、いまだに誤解が解消されていないのです。本ホワイトペーパーでは、次の事項について解説します。

  • スキャン機能付きデバイスとスキャン専用のハンディターミナル(ハードウェア)との比較で、よく引き合いに出される5つの先入観
  • スマートフォン型スキャナの見落とされていた利点とスマートデバイスの性能はハンドヘルドスキャナに匹敵するという事実
  • お客様事例、ならびにエンタープライズ要件を満たすバーコードスキャン機能と拡張現実(AR)を統合したアプリをラストワンマイルに導入して獲得したベネフィット
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先入観 #1:専用デバイスのスキャン性能には敵わない?

最もよく見られる思い込みのひとつが、スマートデバイスのカメラを使用したスキャナは、専用のハードウェア型スキャナより低速で読み取り距離も短い、というものです。

スキャンディットのテクノロジを採用したスマートデバイスは、ハンドヘルドバーコードスキャナと同等の読み取り速度・精度を実現するどころか、それを上回ることも多く、配送ルートで必要とされる堅牢で信頼性の高いパフォーマンスを提供します。

スマートフォン型スキャナは、コンピューティング機能と高解像度カメラを適切に設定することで、最も普及しているハンドヘルドスキャナや極めて耐久性の高いタッチコンピュータに勝る読み取り距離を実現しています。具体的には40%読み取り距離が長くなります。これはハイエンドスマートフォンに限ったことではありません。

安全とスピードの確保に不可欠なスキャン機能

一定の対人距離が確保された安全な集荷・配達を実現するために、高速かつ高効率で、特に離れた場所から読み取れることが必須となりました。雨の日のような悪条件でも問題なく読み取れることも同様です。

スキャンディットのテクノロジを採用した高精度かつ高性能なスマートフォン型スキャナは、デポ(depot)での荷積みや車内での荷物の検索、玄関先での配達証明の受け取りといった場面でよくある様々な条件にも対応します。

Loading Receiving Post Parcel Express

次のような状況でもスキャンできます:

  • 暗い場所や光の反射(デポやトラックの荷台でスキャンするとき)
  • 最大80°の不自然な角度(かかんだりハシゴを登る必要性が低減)
  • 読み取りにくいコード(破損、湾曲、スタンプが上から押されている、非常に小さい等)

しかも、スキャンディットのシングルスキャン速度は毎分480スキャンなので、ハードウェア型スキャナの信頼性と精度に軽く匹敵します。シングルスキャンにとどまらず、スマートフォン型スキャナによって可能になるラストワンマイルの変革や、詳細については後述します。

先入観 #2:バッテリや電源がシフト終了までもたない?

ハンドヘルドスキャナにせよスマートフォンにせよ、バーコードスキャンデバイスは1回の充電で勤務時間より長く使用できることが極めて重要です。これにより従業員の時間を無駄にせず、生産性を確保できます。よく引き合いに出される先入観は、スマートフォンのバッテリはシフト終了までもたない、というものでした。

しかし、スマートフォンメーカーはバッテリ電源・性能が極めて重要であることを理解しており、継続的に改良して新機種を出しています。そしてスキャン機能をもたらすソフトウェアの選択もまた重要です。

最近の例を挙げると、人気のある高耐久性AndroidスマートデバイスでスキャンディットのBarcode Scanner SDKを使用した場合、1回の充電で2秒ごとにスキャンして1万2,000スキャンを達成しています。繁忙期の極めて長い配達ルートでも十分すぎる性能です。

Battery life and performance

まだ不安が残る場合は、ポゴピンコネクターをサポートするスマートデバイスを選択すれば、走行中に車内で必要に応じて確実かつ頻繁に充電できます。また、共有デバイスとして複数のシフトで使用する場合は、バッテリ交換が可能なスマートフォンを利用できます。持続時間を延長できるだけでなく、必要に応じてバッテリを交換して24時間365日、優れたスキャン性能を確保できます。

先入観 #3:スマートフォンは耐久性が低い?

専用バーコードスキャナは、過酷な配送環境での多用や車内での手荒な扱いにも耐えられるように設計されています。現在のハードウェア市場の大きな利点のひとつは、スマートフォンやタブレットの選択肢が豊富に用意されていることであり、なかには過酷な条件に対応する高堅牢でタフなスマートデバイスもあります。

統計データによると、Samsung XCover Proは配達業務における主要なワークロードの耐久性ニーズを満たしており、デポ環境、高温の車内、悪天候時の配達に適した堅牢な耐久性を備えています。

Rugged smartphone specs

専用ハードウェアスキャナに引けを取らない耐久性を備えていながら、よりスタイリッシュで便利な、長く使用できる形状をしています。しかも、これはエンタープライズ要件を満たす高耐久性デバイスの数ある選択肢のなかのひとつに過ぎません。

また、耐久性のある頑丈なケースを使用すれば、あらゆるスマートフォン型バーコードスキャナの耐久性をさらに高めることができます。それでも専用スキャナよりコストを削減できるのです。

先入観 #4:スマートフォンでは同じユーザエクスペリエンスを提供できない?

スキャンディットのモバイルアプリ用スキャン機能は2万機種を超えるスマートフォンに対応しているため、個々のビジネスニーズに合ったデバイスが簡単に見つかります。

また、スマートフォンは次のような特長を備えており、快適なユーザエクスペリエンスを提供できます。

  • 1台の軽量デバイスで、シフト勤務中も携帯しやすく、大画面を使える
  • 通話やルート案内の利用など、できることが多い
  • 使い慣れたインターフェイスと様々な条件下でも行える高精度なスキャン
  • さまざまな職務、環境、ワークフローに対応する豊富な機種

配達場所で書類を出すときなど、大画面であれば容易に判読できます。一部の機種はタッチ感度が高く、手袋をはめたまま操作できたり、ウェットタッチ機能により悪天候時の配送にも対応します。

レーザースキャナと同じ物理ボタンを好むユーザには、物理ボタンを設定できるスマートフォンがあります。デバイスを手にしたときに自然な手の位置に物理ボタンを設定して、使い慣れたスキャナの人間工学的デザインを再現できます。

レーザースキャナと同じ物理ボタンを好むユーザには、物理ボタンを設定できるスマートフォンがあります。デバイスを手にしたときに自然な手の位置に物理ボタンを設定して、使い慣れたスキャナの人間工学的デザインを再現できます。

  • 連続スキャンで中断することなく作業スピードを上げたり、複数の荷札バーコードをまとめてスキャンして拡張現実(AR)機能により1つの荷物を特定できる
  • ARオーバーレイにより、配送区域や特殊配送指示といった荷物情報がドライバの画面に直接表示される
scanning barcodes on packages for loading zones

先入観 #5:スマートフォンはセキュリティが脆弱で、エンタープライズ要件を満たせない?

実はスマートフォンはかなり前から業務利用されており、会社が購入したモバイルデバイスを物流スタッフに支給するCOPE(Corporate Owned, Personally Enabled)戦略と、スタッフの私物デバイスの業務利用を許可するBYOD(Bring Your Own Device)方式が採用されています。

一般的にハードウェアとソフトウェアの両方に重層的なセキュリティ対策が行われていて、エンタープライズ要件を満た安全性が確保されています。例えばSamsungのAndroidデバイスに搭載された、軍事用途レベルのモバイルセキュリティプラットフォームKnoxの機能は次のとおりです。

  • 侵入/マルウェアに対する保護
  • 顔認証や指紋アクセスなどのセキュリティ機能
  • 延長サポートにより、4年間のセキュリティメンテナンスリリースを提供し、セキュリティパッチの更新およびモバイルセキュリティ脅威からの保護を保証

こうした安全対策にクラウドベースのストレージを組み合わせることによって、盗難や損失によるデータ漏洩を防止できます。また、スキャンディットのソフトウェアを採用すれば、データキャプチャにおけるセキュリティとデータプライバシーも確保できます。なぜならデータの抽出も処理も、すべてデバイス内で実行されるからです。

スマートフォン型スキャナの見落とされていたビジネスベネフィット

mobile proof of delivery

スマートデバイスの業務利用に関するよくある先入観については以上です。ここからは、あまり知られていないスマートフォン型スキャナの3つの具体的なベネフィットについて述べます。

1. 先行投資を削減し、総保有コスト(TCO)を削減できる

スマートフォン型スキャナに移行すると、シングルスキャンであろうと、より高度な拡張現実(AR)機能であろうと、個々のニーズに応じて適正な費用対効果を得ることができます。

スキャンディットのバーコードスキャン機能を追加したスマートフォンのコストは通常、専用バーコードスキャナの1/3であるため、ハードウェアへの先行投資を削減して、運用コストと財務リスクを低減できます。

将来的なコスト削減に向けてBYODを検討

従業員が私物の使い慣れたスマートフォンを使用するBYOD戦略は、あらゆるハードウェアコストの削減につながります。例えば繁忙期の臨時雇用スタッフ(ギグワーカー)へのハードウェア供給問題の解消と研修時間の短縮につながるなど、合理的なソリューションです。

ドライバも無線機、専用スキャナ、情報発信デバイスなどを苦労して使い分けていますが、スマートフォンでこの3つを代替できるため、コストを大幅に削減し、利便性の高い1つのソリューションでラストワンマイルのあらゆるニーズを満たすことができます。

BYODのスマートフォン型スキャナによるデジタルトランスフォーメーションの実現

イギリスの配送会社Yodelは7,000人以上の配送ドライバをスキャンディットのBYODに移行して、ハードウェア型スキャナのコストを削減し、ユーザエクスペリエンスを高めています。

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2. 予期せぬピークにも難なく対応できる

eコマースはすでに活況を呈していましたが、新型コロナのパンデミックによって需要が激増しました。結果は次のとおりです。

  • 安全要件、荷物量、貨物積載能力の不足により、2020年の運用コストはほぼ2倍に
  • 荷物量が90%増となり(クリスマス繁忙期の1日当たりの需要と同等)世界中の物流業界にキャパシティの問題が発生
  • 2020年3月だけでAmazonは配送ドライバ10万人を雇用

予測可能な季節的ピークに加えて、予期せぬ需要変動にも迅速に対応する必要が生じたことから、多くの企業はスマートフォンに移行して、シンプルで拡張性の高いソリューションを展開しました。

従業員にスマートデバイスを支給したり、私物デバイスの使用を許可することは、専用スキャナに代わる、柔軟でコスト効果の高いソリューションであり、業務ピークが生じた時点ですぐ、必要に応じて従業員を採用できます。

Hermes UKがスキャンディットのテクノロジを採用したスマートフォンを導入してTCOを削減

イギリスの大手宅配業者Hermes UKは専用デバイスからスマートフォンに移行した結果、総保有コスト(TCO)を大幅に削減し、配達員により柔軟で直感的なソリューションを提供できました。

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3. プロセスの再現からイノベーションへ

スマートフォン型スキャナの利点は、実際のビジネス現場で専用デバイスと同等のパフォーマンスを発揮するだけに留まりません。イノベーションを推進したい企業は、さまざまな付加価値を得て、業務効率化とユーザエクスペリエンスの向上を実現できます。

開発時に耐久性の高いスキャナと同じユーザエクスペリエンスとプロセスを再現して、既存の業務をそのまま維持することが可能です。カスタマイズ可能なプッシュ式のスキャンボタンで、以前と変わらぬプロセスを変わらぬ速度で実行できます。さらに、スキャンディットのソフトウェアによるバーコードスキャン機能は、より高度なユースケースにも対応します。

連続スキャン

連続スキャンにより、大量スキャンが必要とされる場面でのスピードと効率が上がります。スキャナを起動すると、複数のバーコードを検出できるため、ボタンをその都度押す必要がありません。このため大きな棚をスキャンする従業員の作業時間を短縮し、疲労を軽減できます。

MatrixScan拡張現実(AR)

MatrixScan ARは一括のスキャン機能とリアルタイムのフィードバックを提供します。MatrixScanを使用すると、ひとつの画面で複数のバーコードを瞬時に検出でき、ひとつずつスキャンする必要がなくなります。また、ARオーバーレイにより、リアルタイムでデバイス画面上に最適な積み込み順序のアドバイス、ワークフローや注意事項などが可視化されるので人的ミスの回避と業務効率化につながります。

ID Scanning

ID Scanningは本人確認を必要とする商品(年齢制限や医薬品など)を配達する際の確認作業をサポートするもので、ID(身分証明書)を配達証明プロセスの一環として読み取ることができます。

ARでワークフローの効率が向上
  • 生産性の向上 – 配達場所での荷物の検索。MatrixScan ARにより各停車場所で目的の荷物をすぐに特定して配達できる。
    予想される年間の業務生産性向上 – 19万5,000人時削減、プロセスコストを290万ドル削減
  • プロセスの効率化 – 荷積みから配達までのプロセス。MatrixScan ARにより複数の荷札を一括キャプチャして、どの小包を先に積載するかアドバイスを視覚的に指示できる。
    予想される年間の業務効率向上 – 2万4,000人時削減、プロセスコストを30万ドル削減

スキャンディットのスマートフォン型スキャンソリューションは、既存のアプリやワークフローを含む、あらゆる環境に簡単に追加できます。簡単かつ迅速に統合できるため、業務の中断や莫大なコストを必要とせず、ラストワンマイルのワークフローをデジタル化するには理想的な方法です。

ハードウェアスキャナを見直すべきタイミングは今です

スマートフォン型スキャナは、専用スキャナと変わらぬスピード、性能、信頼性を提供しながら、より高いコスト効果と拡張性をもたらすソリューションです。

しかし、スマートデバイスを専用バーコードスキャナの直接的な代替ととらえるだけでは、イノベーションにつながる可能性を見逃してしまいます。プロセスの向上、デバイス使用の効率化、機能の高速化が可能になれば、物流企業にとって不可避なデジタルトランスフォーメーションを推進し、ラストワンマイルのワークフローを将来にわたって有効なものにすることができます。

ラストワンマイルにおけるスマートフォン型スキャナの詳細や導入について場合は、こちらまでお問い合わせください。

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お役立ち情報

ラストワンマイル物流にモバイルスキャン用のデバイスを採用する4つの理由

eコマースが急増した結果、シームレスで正確な非接触配送に対する需要が高まっています。従来のやり方を見直し、スマートデバイスを活用したモバイルスキャンに移行する4つの理由をご紹介します。

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モバイル・コンピュータビジョンとAR技術によるバーコードスキャンがもたらす画期的なDXについて事例を交えてご紹介します。