世界最大のスポーツ用品小売業者デカトロン(Decathlon)は、アジア拠点のストアが直面する店舗面積の制限に対処するため、スキャンディットのバーコードスキャンソリューションを顧客用のスマホレジアプリに統合しました。

これにより、来店客は店舗にいながらデカトロンのすべての商品にアクセスすることが可能になりました。そして、高速・高精度のバーコードスキャン機能を使ったアプリによる利便性の高いショッピングを実現し、オンライン売上高に占めるアプリ経由の購入比率がシンガポールでは30%に、インドでは90%に上昇しました。

スキャンディットのテクノロジーを採用したスマートフォンアプリに対するお客様の反応は極めて肯定的です。顧客満足度スコアも5段階式で4.8を獲得し、従来使用していたRFIDダグを使用したセルフチェックアウトのシステムより向上しています。新規出店に際して、新しいPOSレジ設置のための売り場面積を確保する必要はなくなりました。また、アプリにより新しいオムニチャネルを提供することができ、お客様の利便性の向上、物理的な店舗空間の削減、利益率向上に成功しました。
デカトロン
シンガポール グローバルソリューションマネージャー
Gael Robin 氏

課題

脱RFIDのセルフチェックアウト〜スマホアプリによるカスタマエクスペリエンス(CX)のデジタル化へ〜

デカトロンは57カ国1,000都市に1,647店舗以上を展開し、80種類のスポーツにわたる5,000点以上の関連商品を販売しています。アジア拠点の店舗は主にショッピングモールの中心部に立地しているため賃料が非常に高く、シンガポールおよびインドでは既存の大型店でも中小規模店舗においても膨大な商品を保管し、販売することが困難になっていました。

お客様により快適なショッピング体験と商品検索の利便性を高めるべく、同社ははRFIDタグによるチェックアウトシステムを導入しました。しかし、賃料の上昇により、RFIDチェックアウトの売場スペースを設けることがコスト面から困難となりました。店舗スペースが限られているため、陳列できる商品の数量が限られ、在庫不足による販売の機会損失も生じていました。

デカトロンは「フィジカル(Physical)」と「デジタル(Digital)」を融合した独自の「フィジタル(Phygital)戦略」の実現に向けて、デジタル化を実店舗の中核に据える必要がありました。同社はスマートフォンからのウェブ閲覧数が多いにもかかわらず、オンライン購入件数が少ないことに気付きました。そこでスマートフォンから簡単に買い物ができるようにしようと、「Decathlonアプリ」という顧客用のスマホレジアプリを作成し、オンラインとオフラインのやり取りを融合したオムニチャネルのカスタマエクスペリエンスの実現を目指しました。このアプリにより、お客様は店舗からでもECストアからでも、目にしたすべてのデカトロン商品をレジに並ばずにすぐ購入できるようになります。最終的には、デジタルチャネル(アプリやウェブECサイト)経由の注文を25%以上増やし、店舗面積の制約に起因する機会損失にも対処したいと目標を掲げました。

スマートフォン型スキャナで快適なオムニチャネルを創出

当初は、バーコードスキャン技術にオープンソースを採用していました。しかし、スキャン精度に問題があり、光の反射や暗い場所、読み取りにくい角度や離れた場所からの読み取り、ぼやけた印字といった悪条件のバーコードを正しく読み取ることができませんでした。また、オープンソースのスキャンソフトウェアデカトロンのフロントエンドとバックエンドのシステムにおいて価格や在庫といった商品の詳細について広範な追加開発を行わなければならず、同社にとって避けたい状況でした。さらにQRコードによる情報掲示や、商品に価格表示を義務付けられているインドなどで2次元バーコードを読み取るニーズに対して、オープンソースでは限界がありました。

ソリューション

利便性とサービスを実現する「フィジタル戦略」を支えるスマートフォン型スキャンアプリ

デカトロンは複数のバーコードスキャンソリューションを検証した結果、スキャンディットのBarcode Scanner SDKの採用を決定しました。スキャンディットの高速・高精度のバーコードスキャン機能を高く評価し、デカトロンにとって信頼性のおける選択となりました。社内で「フィジタル」アプリと称している、このスキャンディットのテクノロジを採用したスマホレジアプリはAndroidデバイスとiOSデバイスで稼働し、シンガポールの12店舗、インドの70店舗で使用されています。

お客様は個人のスマートフォンを使ってスマホレジアプリをダウンロードし、会員登録を行うだけで、店舗内の商品をスキャンして決済まで進めます。非常に利便性の高いショッピングを楽めると好評です。キャッシュレスのセルフレジアプリと高速・高精度のスキャン機能により、手軽に買い物を楽しめるようになり、レジ待ちの列に並ぶ必要もなくなりました。

スキャンディットのテクノロジーを採用したデカトロンのスマホレジアプリを使用し、利便性の高いショッピングを楽しんでいる様子をご覧ください

同社のシンガポールのグローバルソリューションマネージャーであるGael Robin氏は次のように述べています。「デカトロンは成長していくなかで、お客様が期待する利便性とサービスを継続的に提供したいと考えています。スマートフォンを使ったショッピングは、バーコードをスキャンする環境や使用するモバイルデバイスに依存することなく、一貫した利便性の高いエクスペリエンスであるべきです。99.9%の読み取り精度を期待していたところ、スキャンディットで100%の精度を実現し、おかげでスマホレジアプリを使用するお客様が増えています。」

スキャンディットのバーコードスキャンソリューションがデカトロンにもたらしたもの

  • 読み取り精度: 破損したラベルや暗い場所、読み取りにくい角度といった悪条件でもバーコードを100%の精度で読み取れます。
  • 利便性: RFIDタグのシステムを導入していた時は、サイネージにQRコードがある商品のスキャンを忘れた場合は、戻ってスキャンする必要がありました。スキャンディットのバーコードスキャンソリューションの導入により、これを解消。商品のバーコードをスキャンするとQRコードの情報が同時にキャプチャされます。
  • 構築が簡単: スキャンディットのバーコードスキャンソリューションをデカトロンのアプリに統合するのは簡単で、外部委託を必要とせずに社内の開発者のみで対応できました。

結果

アプリ内の購入がオンライン売上高の約30%を占める
30%
スキャンディットのスマートフォン型スキャンソリューションによりバスケットサイズが増大
20%
顧客満足度スコアが向上し、5段階評価で4.8を獲得
4.8点

超高速の優れたスキャン性能によりアプリの利用が増加

デカトロンが同社のアプリにスキャンディットのスキャンソリューションを採用して2年以上経ちますが、「フィジタル」戦略に基づいて継続的にアプリの利用率と顧客エンゲージメントが上昇しています。利便性の高いショッピングが体験できるとあって、10万人を超えるユーザがAndroidデバイスやiOSデバイスからアプリ使用しています。

また、アプリ内の購入は利益率の増加にも貢献しています。当初の「デジタルチャネルによる収益を25%向上させる」という目標を上回り、全体的なバスケットサイズも平均20%増大しています。 シンガポールではスキャンディットのテクノロジを採用したアプリによる購入が約30%、インドでは40%を占めており、一部の店舗では家族連れで買い物をする傾向が強い週末など、日によってアプリ内購入が90%を占めることもあります。

新型コロナによるパンデミックもスマートフォンアプリの利用増を促しました。お客様が実店鋪に行くことを避け、ステイホームによる買い物をすることを選んだからです。これによって店舗面積の制約に起因する在庫不足の問題を解消することができました。そして、長い目で見れば、賃料の大幅な削減にもつながります。

デカトロンは、より多くのお客様がアプリを活用するための施策を実践しています。スキャンディットのテクノロジーを採用したスマートフォンアプリを「フィジタル・カート」という新たなオムニチャネルとして告知し、セルフレジによる店舗内の買い物を推奨し、POSレジ端末に行列ができないように誘導しています。店舗に在庫がない商品については、バーコードをスキャンしてアプリ内のカートに入れ、支払いを済ませることで、無料の配送サービスが2時間以内に選択した場所まで届けてくれる便利なサービスを提供しています。

お客様導入事例

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