Staples Canada、従業員の力を最大化
1991年に設立されたStaples Canada社は、オンタリオ州リッチモンドヒルに本社を置く非上場企業です。
Staples Canada社は、カナダ国内に298店舗を展開し、カナダの企業、教育者、保護者、学生、そして数百万人にのぼる一般消費者に製品やサービスを提供しています。
Staples Canada社は創業から30年を迎え、起業の形態、創造性、働き方、学び方の変化を取り入れ、法人顧客と一般消費者のニーズのバランスを改めて見直しました。
それに伴い、製品やサービスのラインナップを拡充し、デジタル体験を融合させることで、顧客への価値を新たなレベルへと引き上げています。
この変革には、旧式のテクノロジーや業務プロセスの刷新が含まれており、Staples Canada社は従業員の潜在能力を引き出し、日々の業務で最大限に活かせる方法を模索していました。
その鍵となったのが、スマートデバイスとScanditのスマートデータキャプチャを活用した新しい従業員向けアプリでした。
Scanditを活用した新しいアプリは、店舗の運営方法や、従業員による日々の業務のやり方を根本的に変えつつあります。
Staples Canada社、CIO、Lance Martel氏
課題
Staples Canada社は、「働きながら学ぶことができる会社」への転換を目指し、単なるブランド刷新を超えた包括的な取り組みを推進しています。
同社の取り組みを以下に紹介します。
- 店舗の変革と、コワーキングスペースやコミュニティスペースの導入
- Eコマースプラットフォームの刷新
- 新しい店舗内サービスおよびデジタルサービスの提供
- 新たなエンジニアリング機能への投資
このようなデジタルトランスフォーメーションを成功させる上で、Staples Canada社は店舗スタッフの果たす役割が極めて重要であると考えていました。
従業員には、従来の在庫管理やカスタマーサービス業務に加え、新製品の知識習得、保証や各種サービスのアップセル方法の理解、さらにはオンライン注文の対応まで求められるようになりました。
Staples社はすぐに、既存の従業員向けのデバイスではこうしたニーズに対応できないことを認識しました。
専用スキャナーは維持コストが高く、台数も制限されていたため、常に従業員全員が使用できるわけではありませんでした。
これらのデバイスを使った作業は身体的な負担が大きく、販売支援の面でも十分な機能を備えていませんでした。
つまり、従業員に求められる業務を円滑化するための「支援ツール」として機能していなかったのです。
たとえば、旧式のハードウェアでは、店舗スタッフが価格監査を正確に行うことが難しく、
その結果、顧客体験が低下したり、価格の変更やレジでの余計な対応が発生したりするなどの課題が生じていました。
「日々の業務を効率化する、優れたツールを提供することで、従業員の能力を最大限に引き出す方法を模索していました」と、Staples Canada社CIOであるLance Martel氏は説明しています。
解決策
Staples Canada社は、従来のスキャナーデバイスをiPhoneに切り替え、従業員の業務に必要なあらゆる機能を備えたアプリの開発を決断しました。
このプロジェクト成功の鍵を握っていたのは、従業員が新しいアプリを使って正確なデータを簡単に取得・確認できることでした。
Staples Canada社はScanditと提携し、在庫管理や商品情報の検索、価格監査といった複数のデータキャプチャ業務を店舗スタッフが円滑に行えるよう支援する、概念実証(PoC)の構築に着手しました。
また同社のITチームは、こうした課題が小売業界全体に共通するものであると認識し、他のデータキャプチャソリューションについても市場調査を行いました。
しかし、Scanditのスマートデータキャプチャが持つ幅広い機能と柔軟性に匹敵するソリューションはほとんどなく、それに気づくのに時間はかかりませんでした。
「当社はすぐに方針を見直し、従業員の業務支援とビジネスニーズの解決に向けて、Scanditと連携し専用ソリューションを構築すべきだと判断しました」とMartel氏は述べています。
Staples Canada社は、以下のScanditの3つのスマートデータキャプチャ製品を単一のシームレスなソリューションとして採用しました。
- バーコードスキャンSDK:ネイティブアプリに対応した、高速・高精度かつ信頼性の高いバーコードスキャン機能。
- MatrixScan AR(複数一括バーコードスキャン・拡張技術):複数のバーコードを同時に読み取り、ARオーバーレイを使ってリアルタイムでフィードバックを提供。
- Smart Label Capture(ラベルとバーコードの読み取り):棚札ととシステムの価格を自動で比較し、価格が不正確である場合に従業員に警告。
Martel氏は次のように述べています。「Scanditの導入によって、従業員は棚の広範囲を一度にスキャンして誤った価格を瞬時に特定できるようになりました。さらに、価格をリアルタイムで更新するワンタッチの値札印刷機能も開発しました。」
Staples Canada社はまず、Scanditの支援のもと、まず3店舗でパイロット導入を実施しました。
従業員は新しいアプリを使い、在庫レベルと移動を管理し、価格のリアルタイムで確認・更新し、さらに顧客対応を行いました。
パイロット導入で得た教訓を踏まえて改良を重ねた結果、Scandit搭載アプリは地区全体へと拡大し、その後間もなくカナダ全国の298店舗に配備された1,200台のiPhoneに展開されました。
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成果
Staples Canada社は、Scandit搭載アプリを全従業員に導入して以来、その使いやすさと実用性が高く評価され、利用率も大幅に向上しています。
Scanditの導入により、店舗スタッフの意欲と生産性が大幅に向上しました。
Staples Canada社、CIO、Lance Martel氏
全店舗で、従業員によって週に2万回セッションと20万回のアプリ操作が実行されており、大きな業績向上につながっています。
週に2万件の価格監査と修正作業を通じて、合計1万8500時間もの従業員の作業時間が削減されました。
また、Scanditを搭載したiPhoneへの移行によって、Staples Canada社はハードウェアコストを45%削減しました。
店舗のフロント業務およびバックヤード業務すべてでScanditスマートデータキャプチャの導入が完了すれば、Staples Canada社は大幅なコスト削減を実現し、価格遵守率100%も達成できると見込んでいます。
「アプリやScanditの活用については、従業員から非常に好意的なフィードバックが寄せられています。
小売業における単純作業を軽減することは、スタッフの意欲や生産性を向上する上で極めて重要です」とMartel氏は述べています。
バックヤード業務への注力
導入当初は、店舗のフロント業務に重点が置かれていました。
Staples Canada社は、Scanditスマートデータキャプチャが提供するすべての機能を活用できるよう、アプリやパートナーシップを今後も進化させることを計画しており、
商品補充の自動化、オムニチャネルフルフィルメント、循環棚卸、入庫業務の効率化を目指しています。
MatrixScan Countによる一括スキャンとカウント機能、そしてMatrixScan FindのARタスクガイダンスは、Staples Canada社の業務改革とビジネス成果の最大化に欠かせない重要な役割を担うことになるでしょう。